第233話大伴宿祢家持の、娘子に贈りし歌(1)

心には 思ひわたれど よしをなみ 外のみにして 嘆きそ我がする

                        (巻4-714)


心の中では、ずっと思い続けてはいるけれど、逢う手段もない。

遠く離れているしかなくて、私は嘆くばかりなのです。


嘆きは、長い息をはく、ため息。

遠距離恋愛か、近い場所にいても障害が多くて、容易には逢瀬を遂げられない相手もある。

そんなどうにもならない恋愛となってしまったら、確かに嘆くしかない。

ただ、この歌の詠み手は、恋多き大伴家持。

相手の女性に通わないことの、断り文句とも、思える。


こんな歌を受け取った相手の女性も、「この浮気者・・・」と嘆いているかもしれない。

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