第207話まそ鏡 磨ぎし心を 緩してば

大伴坂上郎女


まそ鏡 磨ぎし心を 緩してば 後に言ふとも 験あらめやも

                      (巻4-673)


※まそ鏡:鏡を磨くことから、「磨く」にかかる枕詞。


しっかりとした心を許してしまった後で、文句を言ったところで、どうしようもないではありませんか。


男の甘い愛の言葉を信じて、心も身体も許してしまった。

後で心変りした男に捨てられてしまった女性は後を絶たない。

男の甘い愛の言葉をけん制、「うかつには愛の言葉」には乗りませんとの、拒絶の意を込めているようだ。



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