第178話山口女王 剣太刀 名の惜しけくも

剣太刀 名の惜しけくも 我はなし 君に逢わずて 年の経ぬれば

                         (巻4-616)


※剣太刀:名前にかかる枕詞。


私の名前など惜しくもなんともありません。

貴方に逢うこともかなわず、これほど長い年月が過ぎてしまっているので・・・


人の噂がたっても、もはや何も恥ずかしいなどとは思わない。

それより何より、お逢いできない長い年月のほうが辛いのです。


もはや人目を気にはしなくなるほどの恋心の強さ。

一途な彼女の思いが、そのまま詠みこまれた秀歌と思う。

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