第171話笠女郎 相思はぬ 人を思ふは 

相思はぬ 人を思ふは 大寺の 餓鬼の後に 額つくごとし

                     (巻4-608)


片思いの貴方を ひたすら思い続けるのは、まるで大寺の餓鬼の像のおしりを拝むような、みじめで無意味なことなのです。


ついに笠女郎は、大伴家持をあきらめたようだ。

家持は、どれだけ思っても振り向いてはくれない。

そんな貴方を思い続けるなど、餓鬼像(地獄に落ちた痩せこけた亡者)のお尻に額づいて拝むような、みじめで無意味なことのです。

「大寺の 餓鬼の後に 額つくごとし」、みじめで無意味であるとの意味と思うけれど、強くて珍しい表現。


笠女郎は、大伴家持をあきらめるにあたって、強い表現にて、自分の気持ちを断ち切ったのだと思う。



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