第164話笠女郎 伊勢の海の 

伊勢の海の 磯もとどろに 寄する波 畏き人に 恋ひわたるかも

                        (巻4-600)


伊勢の海の磯に激しく音立てて寄せる波、そんな身が震えるほどの高貴なお人に私は恋し続けているのです。


笠女郎に対し、大伴家持は由緒ある大貴族の御曹司。

笠女郎は、はるかな身分違いを悟り始めたのだろうか。

また、伊勢の海の磯に激しく音立てて寄せる波には、世間の噂のやかましさを込めているのだろうか。

大伴家持は、軽い遊びで、笠女郎に接したのかもしれないけれど、笠女郎はその後の逢瀬もかなわず、ただ辛いだけの状態が続く。



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