第126話 我が背子が着せる衣の
安倍女郎の歌一首
わが背子が 着せる衣の 針目おちず こもりにけらし 我が心さへ
(巻4-513)
貴方のお召しになる着物の縫い目の一つ一つに、入り込んでしまったようです。
それを縫った私の心までが。
「貴方のために、手縫いした衣の、針目に一つ一つに、私の心がこもっているのですよ」
愛する人のために、縫物、編み物をする人に共通する思いなのだと思う。
健気に、愛する人を思う、そんな素敵な女性の心もまた、美しい。
その衣を着る男性も、縫ってくれた女性の愛に包まれるのだから、これもまた幸せ。
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