第90話 笠女郎の大伴宿祢家持に贈りし歌(3)
奥山の 岩本菅を 根深めて 結びし心 忘れかねつも
(巻3-397)
奥山の岩の下の菅の葉の根は深いのです。
その根と同じように、深く思って、契りを結んだ心を忘れることなどはできないのです。
※「根深めて」は「菅」の縁語。
結びしは、心も身体も、深くなのだと思う。
とにかく、好きで好きで仕方がない気持ちが、この歌にもこもる。
一途な恋心なのだけれど、相手の大伴家持の心は、この歌の時期には、笠女郎と距離を置いていたとの説がある。
やはり名門貴族大伴氏の御曹司とは、身分の差があったか、あるいは家持としては単に遊びだったのかもしれない。
ただ、障害があるからこそ、恋は燃え上がる、これは、いかなる時代の男女でも共通するのだろう。
だからこそ、笠女郎の哀しいまでの恋を、感じることができる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます