第54話 見渡せば 明石の浦に 

門部王の、難波に在りて、漁夫の燭光を見て作りし歌。

見渡せば 明石の浦に ともす火の ほにそ出ぬる 妹に恋ふらく

                        (巻3-326)


美しい明石の浦を眺めていると、漁夫が船の上で、火を灯しているのが見える。

愛しいあなたへの想いも、人目につくようになってしまったようです。


叙景歌と抒情歌の、美しい融合というべきか。

本人の気持ちしては、旅よりも歌よりも、早く愛する人に逢いたい。

その気持ちが、これほどの美しい歌に昇華させたのだと思う。


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