第13話 フィナーレ

マコトたちは物凄い数のスポットライトに照らされていた。


花火が次々と打ち上がり、あのアナウンサーが「コングラッチレーション!ゲームクリアー!」と叫んでいる。


テロリストによる爆破予告はテレビ局の演出で、マコトたちの避難の様子は全てテレビ中継されていたのだ。


アナウンサーが言葉を続ける。


さあ、残ったチームは夢の島学園チームと、希望の島中学校チーム!、どちらのチームが勝者に相応しいかはテレビの前の、スマホの前のあなたにかかってますよ!、勝者に相応しいと思うチームのボタンを押してください、ではスタート!


大きな液晶表示版に夫々のチームの点数が表示されると目まぐるしく増えていく。


その数字は圧倒的に希望の島中学校が大きい。


更にアナウンサーが言葉を続ける。


そして、会場の特別審査員の皆様の得票を加えます!


すると先ほどの数字は一転し、僅差で夢の島学園の数字が大きくなった。


ここで再び花火が打ち上がる。


優勝は、夢の島学園チーム!、アナウンサーの声が大きく放たれ、次々と打ち上がる花火が会場のブーイングを消し去った。


所詮テレビ局は視聴率を稼ぎ、この先より多大な利益が得られる側を勝者にしたかったのだ。


その差は一目瞭然、テレビ局への寄付金となるヘルプルールを何度も使った夢の島学園に分があるのは当然だった。


テレビ局のスタッフが現れ、タイラ先生に早く生徒を連れて帰りのバスに移動してくださいとイライラしながら催促に来た。


タイラ先生は怒っていたが、ミノリも、マコトも、他の3人もなんだか可笑しくなってきて、ユウなんかは笑い出していた。


そんなユウにつられてみんな笑い始めていた。


笑いながらバスに向かうマコトたちの後ろから「おい」と呼び止める声がした。


声の主は夢の島学園のカオルだった。


優勝したのはボクたちだ文句あるか?、勝てばいいんだよ!


ボクたちが勝ちだ、 ボクの勝ちだ!、でもこれはやる、そう言って捻挫した足を引きづりながら優勝トロフィーをミノリに差し出した。


そしてマコトに向かって黙って深々と頭を下げると、ありがとうと呟いた。


最後に、もう一度ミノリを見ると「仲間っていいな」そう寂しそうに言った。


ミノリは、優勝トロフィーを受け取った。

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