第12話 決勝戦
ドリームタワーの最上階である385階には、ヘルプルールで手に入れた遠隔操作出来る小型潜水艇で、難なく最上階への鍵を手に入れた夢の島学園チームの姿があった。
希望の島中学校チームの姿はない。
希望の島中学校チームは今384階で、マコトのドクターチェックを受けているところだった。
ミノリの手にはマコトがプールの底から運んで着た最上階への鍵がしっかりと握り締められている。
ドクターからのOKのサインが出ると、希望の島中学校チームは最上階への階段を登っていった。
ミノリとタツミが前を行き、足元のおぼつかないマコトを、トモとユウが肩を貸しながら続いていく。
さあ、いよいよ勝者を決める決勝戦だ。
決勝戦はリーダー同士の一騎打ちだ。
最上階の特設されたガラス張りの部屋に、夢の島学園のリーダであるカオルと、ミノリが入っていく。
ガラス張りの部屋の中には各チームのリーダーである2人と司会者を合わせた3人しかいない。
決勝戦は5問先に回答したチームが勝ちという解りやすいルールだ。
ガラス張りの部屋の中での会話はマコトたちには聞こえなかったが、司会者の話す言葉にミノリの表情が次第に曇っていくのを感じた。
司会者が話し終わると、少し間をおいてからミノリが右手を高々と上げ、何かに意を決したように司会者に向かって力強く言葉を発したのが分かった。
次の瞬間、ドリームタワーの全フロアにけたゝましく非常事態を知らせる警報機の音が鳴り響いた。
鳴り止まない警報機の音とともアナウンスが響き渡る。
”テロリストからドリームタワーの爆破予告がありました、速やかに非常階段から避難してください”
騒然となる会場、誰かの「逃げろ」の声に一斉に非常階段に向かってテレビ局のスタッフが逃げ出し始めるを見て、夢の島学園の生徒たちが続く。
最上階から384階に続く階段出入り口の防火シャッターが降り始めるのを見て、ミノリたちも階段へと駆け出した。
我先にと逃げていく人々の後ろをミノリたちは逃げ遅れた人がいないか確認しながら非常階段を降りていく。
途中、夢の島学園のカオルが足を捻挫して座り込んでいた。
恐怖で震えるカオルを、すっかり元気を取り戻したマコトが背負い込むとそのまま階段を駆け下りていった。
その背後で防火シャッターが追いかけるように閉まっていく。
マコトたちはとうとう地上1階にたどり着くと、勢いよくドリームタワーを飛び出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます