第10話 クイズバトル

仰々しい司会者のアナウンスの後にクイズバトルはスタートした。


序盤の問題は簡単な2択問題で、流石に全国から集まった精鋭たちが間違うこともない。


それでも3択問題となった時点から少しずつ脱落するチームや、早速ヘルプルールを使うチームもあった。


クイズは各チームに配布されたタブレットに出題され、タブレットにて回答していくが、もちろんこのタブレットには検索機能や計算機能などはない。


希望の島中学校チームは、トモ、タツミ、ユウ、ミノリ、マコトが各々の得意分野でその能力を発揮し、危なげなく上の階、上の階へと進んでいった。


50階、100階、200階…次第にチーム数は減っていく。


クイズの出題内容はどんどんと専門性を増し、難題に次ぐ難題となっていったが、マコト達はなんとか更に上の階、上の階へと進み、ついに383階へと到達したのだった。


383階へと到達したのは、マコトたちの希望の島中学校チーム、大東京大学チーム、そしてミノリが希望の島中学校に転校する前にいた、夢の島学園チームの3チームだった。


夢の島学園チームのリーダーであるカオルは、ミノリを見つけると皮肉たっぷりに「おい、誰かと思ったらミノリじゃないか、いったいどのツラ下げてここに居るんだ?、クイズバトルに出ようってお前が言い出したくせに、まさかゴミの島中に転校するなんてよ、で、その薄汚い奴らがお前が集めたメンバーか?、は?、参加料はどうした?、ここに来るまで何回”ヘルプ”を使ったんだ?」と突っかかってきた。


ミノリは「ゴミの島じゃない、希望の島だ、こいつらはお前達、俺よりずっとすごい奴らだ、俺の仲間だ、ヘルプなんて1度も使ってない、馬鹿にするな」と言い切った。


カオルは一瞬驚いたような顔をしたあと「ヘルプは使ってない?、嘘言うな」と吐き捨てた。


ここで出された問題は、とてつもない巨大な建造物であるドリームタワーの総重量をドリームタワーの設計図をもとに計算し、正解と10%以内の誤差で解答すれば、384階に進めるというものだった。


大東京大学チームはヘルプを3回使うもその答えは正解の10%以内には収まらずにここで姿を消し、夢の島学園チームは豊富な資金を盾にヘルプを8回使い、正答の8%の答えを出し384階への進出を決めた。


そして、希望の島中学校チームはメンバーの各々の知識を総動員して、問題に向き合っていた。


マコトが知っていた材質の1gあたりの質量をボルトの1本まで細かに書き出すと、それをミノリが正確に計算を積み上げていった。


そして正解のなんと3%以内の回答を導き出すと、夢の島学園に続き、384階進出を決めたのであった。

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