第2話 ミノリ
夢の島の中学校から転校生が来る。この日の教室はその話題で持ちきりだった。
先生と一緒に教室に入ってきたのは小柄で華奢な子で、名前をミノリといった。
周りを睨むような、それでいて視点は定まらず何を見ているわけでもないような目は、灰色に曇っているように見えた。
それまで誰が話しかけても返事すらしなかったミノリが突然言葉を発したのは給食の時間だった。
「みんな知ってる?これ夢の島の給食の余りもんだよ」
恨むような、憎むような鋭い目で給食を見つめている。
そんなことはマコトも学校の誰もが知っていた。
今は飽食の時代、でも大量に余った食べ物は、そのまま廃棄するにはもったいないし、コストもかかる、というわけで衛生的に問題のないように、特別な処理をした上で夢の島から、この希望の島に運ばれてくるのだ。
その日ミノリは給食を食べなかった。
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