流れ星の約束 希望の島と夢の島
@kamosan
第1話 マコト
マコトはこの日も中学校が終わると、いつもの海に潜り、モリで魚を突いていた。
真っ黒に陽に焼けた長いスラリとした手足を海の中でしなやかに動かし、熱帯色の魚を次々と突いていった。
マコトは海からあがった。
まだ新しいコンクリートに水のシミが広がっていく。
ここは希望の島。
長い、長い橋でつながっている夢の島から毎日排出され運ばれてくる、大量に出たゴミで出来ている。
そう、希望の島はゴミの埋め立てによって出来た島なのだ。
海を見つめるマコトの背後、遥か遠くにはゴミ処理場の煙突が空高くそびえ立っている。
最新の技術で煙も匂いもないが、何やら体に悪いものを撒き散らしているという噂もある。
そして何よりの問題は、夢の島から排出されるゴミの量が、処理場の能力を大幅に上回り、結局処理しきれずに海を埋め立てていくことに使われているということだった。
そしてマコトはこの希望の島、ゴミを埋め立て出来た島に住んでいる。
マコトだけではない、ここには今や1万人の人が暮らしているのだ。
希望の島の中には質素な家が立ち並び、学校もある。
役所や警察署、消防署、病院などは無く、それらは全て本島である夢の島にあった。
希望の島では半分自給自足の生活で、ゴミの島の上には立派な畑があり、皆野菜を作り、家では牛や豚や馬、鶏、ヤギを養っていた。
マコトは中学校の帰りに、晩御飯のおかずになる魚を獲っていたのだ。
ゴミの島でも海は何処までも透き通り綺麗だった。
むしろそれは本島である夢の島とは比べられない程の美しさと豊かさであった。
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