何度でも惹かれ逢う〜君と過ごした愛しい時間

@Hikaru1115

第1話出逢い

あの事故がおきてからあれから1年が

経とうとしている。

1年が経とうとしているのにまだあの日の

ことを忘れられずにいる。

今でも鮮明に覚えていて忘れることが

できない。

街を一人で歩いている時、横断歩道を歩いて

いる時、いつでもどこにいても事故の記憶が

フラッシュバックしてくる。

あの事故で記憶を無くしたはずなのになぜだか事故の記憶だけは鮮明に覚えていてイライラする。

それに街ですれ違う人達に挨拶や話しを

交わされるけど何一つ覚えてなくてどうすればいいのか分からずにただ笑みをこぼすだけ

こんな毎日の繰り返しの中で私はいきている

今でも思うことがあるそれはなぜあんな

大惨事の中で私だけが生き残ったのだろうかと言うこと。

あの大惨事の中で生き残れるはずがない

私はそう思っていた。

それでも周りの人はこう言う「生き残れたのだからあまり深く考えずに今はただ生かされていることに感謝して生きなさい」

またこんな風に言う人だっていた。「もしかしたら神様が生かしてくれたのかもしれないだからこそこれからの毎日を試練だと思って

生きなさい」と。もしそうだとしたら神様は

ひど過ぎるなぜこんな仕打ちを私にだけあわせるのだろう。

私が一体何をしたのだろう?そんなことを

考えながら今日も病院に向かっていた。

今日は週に一度の通院の日だった。病気が

分かったのは事故から1ヶ月が過ぎてのこと

だった。ここ何日か体調が悪く咳がずっと

続いていて熱も下がらないので様子がおかしいと思い病院に行くと癌だと診断された。

それから1週間病院に通いつめ今は週一の

通院に落ち着いている。

診断を終えた私が病院を出ようとした時だった雪が降り始めたのだ。「雪だ!」私は思わず声を上げた。

病院にいる人も外を歩いている人も一斉に

空を見上げ降ってくる雪に歓声をあげていた

理由はただ一つ今年に入って寒さが続いていたのに雪が全然降らなかったからだ。

今年に入っての初雪…雪の日はあの日のことを思い出す。確かあの日もこんな雪が降っていた。家族でスキー旅行をした帰りの日に

事故にあった。今思えば家族の分も背負わされて私は生かされているのだろうと思う。

そうやってあれこれ思い出しながら歩いて

いた時に彼と出会った。

こんな寒い日に家にも帰らず公園のベンチに

ずっと腰掛けていた。私は不思議に思い思わずのぞきこんでしまった。それでも彼は目をつむったまま動かずにいた。それでも返事が

ない彼に私は思わず声をかけてしまった。

「あの〜どうかされたんですか?」

そう問いかけても返事がなかったので、

その日はまっすぐ家に帰った。

次の日また彼を見かけた、今日は何か独り言をつぶやいていた。

そして帰ろうとしていた時だった、後ろから

何かを言われた気がして 振り返ってみると

彼が立っていた。私は何か言われるんじゃ

ないかと思いそこに立っていたが彼は結局

何も言わずにその場を立ち去ってしまった。

次の日気になってまた昨日と同じ場所に

行ってみた、やっぱりそこには彼がいた。

「いた!」私は勇気を奮い立たせ彼に声を

かけてみた。「あの〜昨日もそこにいましたよね」「ああ、いたよ」「昨日もその前もここにいた」「ずっとあんたを見てた」彼は

まっすぐな瞳で私を見つめながらそう言った。続けるように彼は言った、「あんたは

知らないだろうけどあんたを助けたのは

この俺だ」そう言われて私はびっくりした。

彼は私を無視して話し続けた「あの状況だと

あんたを助けるのが精一杯だった」

「それに他の人達はどちらにしても危ない

状況だったし、息すらしてないやつもいた」

彼がそう話し終えると私は我に返りそうだったのかだから私だけ助かったのか、だから

私だけ生き残ってこれまで生きていられたのか、これで今まで生きてこられた理由がやっと分かった。その理由が分かった途端に涙が

こぼれ落ちたそして色んな感情が一斉に

こみ上げてきた。私は泣きながら彼に感謝の

言葉を言いながらその場を立ち去ってしまった。その日は家に帰って一日中泣き明かして

しまった。翌日ふと昨日のことを振り返ると

お礼は言ったものの名前を聞くのを忘れてしまっていた。そこで私は昨日いた場所にまた

彼がいるかと思いその場所に向かった。

やはりいた誰かを待っているかのように見えたが私が近づいた瞬間彼はこちらを見て近づいてきた。待っていたのは私だと分かった。

それもそうだろう昨日あんな立ち去り方を

してしまったのだから私は彼の方に近づいて言った。「あの、昨日はあんな風に帰ってしまってすいませんでした」

「それと名前を聞いてなかったので名前を

伺ってもいいですか?」

「光」、「大路元光」「光君かいい名前だね」「私は真奈美」「榎本真奈美って言うの

よろしくね」「こちらこそよろしく」

私達はお互いに笑い合いながら握手をした。

それからと言うもの私達は毎日会うように

なりお互いの話をするようになり興味を持つようになった。

光の話しを聞いていたら光の家庭も大変な

ことが分かった。

「そうなんだ、光の家も大変なんだね」

「うん」その日は光の話しを聞いて一日が

終わった。

次の日体調がどうもおかしくこれまであった

記憶もところどころ抜け落ちていたので

先に光の所へ行き今日は用事があるから

話せないと説明し病院へ向かった。

何か変な感じだ光の名前や顔は覚えているのにこれまでの記憶がないなんて。

病院に着くと受付を済ませた私は自分の番が

来るのを待ち、自分の番がくると先生に事情を説明したのだ。先生によると記憶は事故の影響から来ているので仕方ないが体調が悪いのはこれまで治まっていた癌が再発したそうだ。次の日光に会い昨日のことを説明した。

「そうだったんだ話してくれてありがとう」「うん、今まで黙っていてごめんね」

私は勇気を振りしぼって光に言った。

「私光の事が好き」「付き合って下さい」

光は少し驚いていたが快く返事してくれた

「うん、いいよ」。

光と出逢い私の世界は明るくなった気がした。俺真奈美に何かしてやれることあるかな

こんな俺みたいなやつが真奈美にしてやれることっていったいなんだろう。

次の日光ると会うと様子が何だか変だったので理由を聞いてみると私のことについて

悩んでいるようだったので私は言った。

「光は何も心配しなくていいよ、ただ私の

隣にいて私が光のことをわすれかけていたりしたら私に呼びかけてくれたらいいんだよ」

「私が体調悪い時そばにいて支えてくれる

それだけでいいんだよ」

「そんなことでいいのか?」「俺本当に何もしなくていいのか?」「うんそう言うと

光はほっとしたような表情をしていた。

だけど私は心の底で思った。「ずっとそばにいてやれなくてごめんね」と。それからの

私達はお互いの時間を大切にしていき2人の時間を大切にしながら過ごした。

光と付き合い始めて1年がたとうとしていた

そして付き合い始めての冬でもあった。

ここ最近は体調が悪くて病院に通いつめで

入院することになった。再発していた癌が

悪化したのだ。それに光も付き合ってくれている。今日は診察の日で検査を受けた

先生には持って後一年半だと言われた、

後一年半の間に何ができるだろう。光ると

何をして過ごそう頭に浮かぶのはそればかり

光はいったい何を考えてくれているのだろう。ある日私は疑問に思って聞いてみた

「ねぇ、光はいったい何を考えているの?」

すると光は私の顔を見て微笑みながら言った。「後一年半真奈美と何をして過ごそうか

考えてる」「でも、一年半じゃ足りないよな

二人の思い出を作るには」

「うん」私が返事をして光の方を見てみると

光は目をつぶりながらお願いごとをするようにつぶやいていた。「お願いです。どうか

真奈美を連れて行かないで下さい」

「これからもずっと真奈美を大切にし

愛すると誓うのでどうかおねがいです」

それを聞いた私は切なくなって涙が出て

しまった。

「神様お願いです。どうかこのまま光ると

一緒にいさせてください」「お願いです」

そう心の中でつぶやいた。

私はこれまでの光との出逢いと何を話してきたのかを日記に書いた。覚えている限りの

ことを日記に書き尽くした。今日は光るが

お見舞いに来てくれている。

「ねぇ真奈美二人だけで結婚式あげない」

「二人だけの結婚式を挙げて最高の思い出を

作ろう」「うん」私達は二人でお互いの愛を

誓いあった。

二人だけの結婚式を挙げて数日が過ぎた

季節は春もうすぐ先生が言っていた半年が経つ。「光、もし私がいなくなっても私のことを忘れないでね」「もちろんだよ」

「私がいなくなっても悲しまないで私は空光を見守っているから」「うん」「約束だよ」

「ああ、約束する」私は眠くなりそうな目を

必死に開けながら指切りと言って最後にもう

一度約束と言って笑いながら目をつむった。

「約束するよ何度生まれ変わっても何度

出逢っても君に恋をする」

「そう約束するよ」私は目をつむっていたが

光の声だけは聞こえていた。

私もよ。そう心でつぶやいた。「ピー…」と

言う電子音が病室に広がった。「真奈美こんな俺と付き合ってくれてありがとな」

真奈美が亡くなって2日が過ぎた光は真奈美の遺品を片付けているとある物を見つけた。

それは真奈美が入院していた頃につけていた

日記帳だった。ページを1枚1枚めくっていくと二人で過ごした日々がつづられていた。

光は泣きながら言った「真奈美本当にありがとな」「本当に今までありがとう」

光は帰りに空を見上げながら心でこうつぶやいた。君と過ごした時間は一生忘れない

今までありがとう。

今日の空はあの日と同じような晴れ渡ったような寒空だった。

[~完~]

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