ぶち壊しにしてみたシリーズ

有原ハリアー

“もふもふ”の最後をぶち壊しにしてみた

事前警告:わざわざ許可を取る理由は、一つです。


「組み上げたストーリーを台無しにするから」。


 ご了承の上読み進めるか、引き返してくださいませ。





     ***





 ハンカチで涙を拭く、ネーゼ殿下。

 気丈に振る舞い、ハーゲンを見た。


「こういう湿っぽい事はこれで……」


 姿勢を正し、ハーゲンに決意を伝えようとしたその時。


 ズドォオンという破壊音が、二人の耳に響いた。


「何だ!?」


 立て続けに響く破壊音。

 と、巨大な何かが宮殿の壁を突き破り、倒れてきた。


「あの赤い線……帝都防衛騎士団の!?」


 正体はすぐに判明する。

 帝都防衛騎士団のゼクローザスの一機だ。


「ッ、ネーゼ様!」


 咄嗟とっさにネーゼを庇うハーゲン。

 程なくして、他のゼクローザスが次々と、宮殿の壁を突き破って倒れた。


「一体外では、何が……」


 暴風が迫る中、ハーゲンは抗いながら目を開く。

 と、声が響いた。


『さて、これで準備は完了かな』

『ええ。では、参りましょうか』


 声が響いた。

 若い男女の声だ。


「ネーゼ様、下がって下さい!」


 ハーゲンは授かったばかりの「紫苑の剣」に手を掛け、ネーゼを守ろうとした。


「「……!?」」


 が、ハーゲンとネーゼは揃って絶句する。

 漆黒の、リナリアによく似た鋼鉄人形が、じっと二人を見下ろしていたからだ。


『こんにちは、父さん、陛下。いえ、今は殿下でしたね』

『初めまして、お義父さまにお母さま。いえ、ネーゼ・アルマ・ウェーバー殿下』


「誰だ、お前達は!?」


 自らを“父さん”と呼ぶ謎の男に、眉をひそめる。

 ネーゼもまた、同様であった。


『その説明は後にするよ!』


 漆黒のリナリアが手を伸ばし、ハーゲンとネーゼを優しく掴む。

 突然の事態に、状況把握が追い付いていないハーゲンとネーゼ、そして居合わせた者達は、対処に間に合わなかった。


『さようなら!』


 そして漆黒のリナリアは、転移テレポートでもって姿を消したのであった。


     *


『さて、と。

 父さんと陛下……いや殿下には、行ってもらう場所がある』


 漆黒のリナリアから響く声が、二人に一方的に告げる。


『父さん達の……そして、僕達の知る人だよ』

「“俺達が知る人”だと?」

「それは誰なのですか……?」


 自分達を拉致した、漆黒のリナリアの搭乗士ドールマスター

 ハーゲンには、そしてネーゼには、パッと思い浮かぶ人物が存在していなかった。



『“ヴァレンティア”と言えば、わかるかな?』



「“ヴァレンティア”……」

「まさか!」


 漆黒のリナリアの搭乗士ドールマスターの言葉を聞いた二人は、すぐにその人物を思い出す。


『思い出してくれたみたいだね。

 なら、話は早いや。

 ……それじゃあ、ちょっとを始めるよ! 姫様!』

『はい!』


 漆黒のリナリアの搭乗士ドールマスターと、それに付き従う少女が、霊力をリナリアへと集中させる。


 一瞬の間をおいて、漆黒のリナリアの姿は影も形も無くなったのであった。


     *


『着いたね』


 漆黒のリナリアは、に降り立った。


『後はあの人達に頼んでね。

 僕達が介入するのは、ここまでさ』


 そして漆黒のリナリアは、姿を消したのであった。


「何だ!? って、おい……。

 ちょ、どうしてお二方がこちらに!?」


 龍野達に見つけられたハーゲンとネーゼは、そのまま保護されたのであった。


     *


 全てを終えた漆黒のリナリアは、時空間の狭間にいた。


「さて、これで一つの世界は終わったね。姫様」

「ええ、騎士様。では、次の世界へ」


 漆黒のリナリアの搭乗士ドールマスターと、付き従う美少女。

 2人は新たなる目標を見つめつつも、今だけは達成感を味わっていたのであった。



作者からの追伸


 はい、考えうる限り最悪の方法で台無しにしてみました。

 未来も何もあったものではありません。


 一応、以下の(イフ)エピソードの前日譚という扱いです。


作品名:(メインユニット)須王龍野(“異世界社長戦争”参加用)

エピソード:エピローグ(その4)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054886778164/episodes/1177354054887513229


 イフでなければ、シャレになっていないでしょう。


 ……では、次をお待ちくださいませ。

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