第十四話 蛇に睨まれた王様

「どうやったらここから逃がしてくれるんですかね」

「そう悪い話とは思えないけどな。王として支配できるんだから、表の世界で」

「裏でこそこそ人の役に立つ方が性に合ってます」

「じゃあ君の情報を漏らしている奴は野放しでいいと?」


 返す言葉が無くなる。

 そいつは捕まえたいけど記憶を無くすのとは話が違うと思う。

 大体竜也叔父さんの復讐とか言ってるけど叔父さんが何をしたっていうんですか。

 怒りで相手に雷を落としたくなる。(私なら本当にできるのだけど)


 質問は色々とあるがまずはここがどこだか知りたい。

 場所さえ知れば風に乗って帰ることは十分可能だからだ。

 そうすればここから帰れるけど残された河野先生がどうなっちゃうのかわからない。


「さ、こんな無駄話は置いておいて龍天時、来てもらうぞ」

「ちょっと待ってくれよ。下手に攻撃すると何が起こるかわからないし、今日は終わりにしないか」

「ウォッタ、何か都合の悪いことでもあるのか」

「別に無いっすよ。内容は無いよう、なんてね」


 苦しい空気から一変し、今度は寒くなる。

 因みに今私は別に雪の能力なんて使ってないのですが。


「まっ、ウォッタの寒いダジャレに免じて一日だけ時間をやろう」

「いやぁ、スネック先生は怖いなぁ」


 スネックは星川先生のコードネームだろう。

 その名前にこの部屋の扉を開けた時の恐ろしい光景を思い出す。


 あの時の大蛇の目と同じ不気味な目線を感じた。

 その目線の先には星川先生が立っていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る