第七話 能力を使えば

 船田先生を私の能力により突き飛ばしてしまった。


 まだ私の能力をお伝えしていなかったのでご紹介しよう。


 私は一般に自然現象といわれる能力を操る。

 天気・地震・波の満ち引きまで。自分で言うのもなんだが使える能力は幅広く強力。

 便利だけどへたなことをすると世界を壊しかねないのです。

 大昔に私が存在したら、神としてあがめられていたかもしれないという話をよくお母さんが冗談めかしてしていた。


 だからこそ狙われることもしばしば。

 今までそのピンチをすべて先代や二代目の力で乗り越えてきたのだ。

 だが今の私に二人はいない。


 私はとにかく隠れられそうな場所を探す。

 はぁ、能力者って全然楽じゃない。


 一方、大空に突き飛ばされた張本人である船田はものすごい形相で探し回っていた。


「そらぁー! 逃げても無駄だからな。能力はわかっている」


 そんな船田の背後に何者かがすっと現れた。


「せんちゃん、騒がしいけどどうしたの?」

「あっ、ウォッタさん。実はちょっと厄介なことになってしまって」

「何?」


 船田に事情を聞いたウォッタと呼ばれる人物は一瞬船田に鋭い視線を向けた。


 私大空はただいま小さな部屋のソファの裏に隠れています。

 はぁ、こんなに学校に戻りたいと思ったのは初めてだ。みんな今頃どうしてるかな。


 隠れたのはいいもののこの部屋は風通しがよく光が入ってこないため少々肌寒い。

 こんな時に役立つのも超能力。

 太陽の光ののぬくもりを手に込める。だんだんと体中が温まってきた。


 “ガチャッ”

 

 音のした方に視線を向けるとドアが開いた。まさかここまで来たのだろうか。

 結構遠くまで逃げたつもりだったのだが大人の足にはかなわない。


「大空、いるんだろ。わかってるんだよ」


 怒りを抑えた声だというのは聞いていてわかる。だが一人の気配ではない。

 ほかのメンバーをきっと連れてきたのだろう。


「そらっち、一時間目の数学の授業より早く会えたね」

「数学? まさか――」


 その聞き覚えのある声は大空に安心感よりも恐怖心を与えた。

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