小さな王と巨大な組織

第一話 普通(?)な朝の会

 「おはようございます」

 

 学校は朝の会から始まる。そう、どこにでもある普通の学校である。

 一時間目は普通に数学。もちろん私は普通に授業を受ける。

 超能力者だということがばれないようにするためには目立たないのが一番なので、特に変わった学校に通ったりしているわけではない。 

 というより、もともと私は自主的な発言をせず、おとなしめに過ごしているもあり、むしろ目立たない生活を送っていた。

 

 超能力を使うのは組織の活動の時だけ。といってもリーダーになってから余り経っていないのでそんなに活動はしたことが無い。ひいおじいちゃんである先代は何年か前にいなくなってしまい、しばらくの間は私の叔父さんが継いでいた。そんな二代目もいつの間にか謎の事件に巻き込まれ、組織のメンバーを残していなくなってしまったのだ。おそらく先代の事件と関連しているのだろう。だが手掛かりは全くと言っていいほど無い。


 少々さびれた窓枠越しにさわやかな空を見つめながらぼーっとしていた。

 そうしている間にも朝の会は進み、いつの間にか終わろうとしている。


 いい天気だなぁ……。


「龍天時、先生が呼んでるぞっ」

「あっ」


 隣の男子に言われてようやく先生が自分の名前を読んでいるのに気が付いた。

 先生の呆れた顔つきからして、私の名前を相当な回数で呼んでいたようだ。


「大空、ちょっと後で来てくれ」

「はっ、はい」


 慌てて返事をする。周りでは笑いが起こった。みんなとの表情とは裏腹に、先生の鋭い目がこちらを向いている。

 今私を呼んだのは担任の船田先生。悪いことは決して許さない正義感の強い人だ。目の細い悪人顔、じゃなかった、本当は見た目によらず優しい人である。

 といっても、自分が呼ばれた理由を必死に探すが思い当たらない。

 何か自分は悪いことでもしただろうか。全く心当たりがないと言えば嘘になるかもしれないが、呼び出しを食らうほど大層なことはしていない。


「大空、何かやらかした?」


 にやけながら後ろの友達が聞いてくるがはっきり答えることはできなかった。


 何かあったのだろうか。嫌な予感がする。

 この予感は予感に過ぎないのか、それとも……。

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