第5話 エピローグ
江戸川は、牛供養のあと、街を歩いていると、ステーキ屋が目にはいる。
「 なりゆきステーキ。か。最近増えてるよな。供養の後でなんだが腹は減るよな。」
店に入り席に着く。メニューを渡されランチセットメニューを頼む。
「すっきりしたような、してないような、あの幻は、なんだったんだろう。牛なら、牛の焼肉食うのもおかしいよな~。でも、今日、あそこに行ったのには何かあったんだろうな。」
ブツブツと独り言を言っていると、
明るい女性の声で、
「お客様、ご注文は、これで宜しいですかぁ。」
と、テーブルに1ポンドステーキが置かれた。
「ごゆっくりお召し上がり下さい。」
ボーッとしていた江戸川は、店員に会釈しようと店員を見た。
「 あっあ。う。あっ 」
江戸川は、驚きのため失語症を患ったかのようにうめいた。
女性店員は心配そうにして、
「 お客様、どうされましたか?」
江戸川は落ち着きを取り戻し、
「 すみません、なんでもありません。牛供養のとこ行ったあとだったので、少し動揺してしまって。」
と、初対面の人に話すのはおかしいと思いつつも、その女性店員があまりにもあの娘にそっくりなので、パニックに陥っていた。
すると、女性から意外な言葉が。
「 私もよく行くんですよ。都内の農学部に在籍しているので、昨年は、牛の飼育の実習で、牛と過ごしたんです。最初、この子達を食べるのかと、不思議な気持ちになりましたが、今はすっきりしてます。少しでもおいしく食べて貰おうと、ここでバイトして、あそこにもしょっちゅう行ってるんです。
ごゅっくり召し上がって下さいね。」
江戸川は、1ポンドのステーキを軽くたいらげ店を出た。
空を見上げて、「 おれももう少しがんばるか!」
とても前向きな気持ちで帰路についた。
ほんとの終わり
通勤焼肉 Shran Andria @Shran_Andria
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