第3話 「再会、dreamers!」
「お兄ちゃん、明日は土曜日だけどなにか予定とかある?いやいや、あるわけないか〜」
これは俺のことを馬鹿にしているのか、もしくは、ごく普通の日常会話として話しかけてきているのかはわからない。
だが、今回ばかりは普段の俺とは違う。
「フッ。明日は予定あるよ、俺」
イキってみた。
正直自分でもキモかったと思う。
だが本当にそれだけ自慢したくなることなのである。
というのも、肥田の一件があって以降、俺が誰かを誘ってもみんな遊んでくれない。
というか、既読すらつかない。
そんな俺に予定があるともなれば唯もびっくりすることだろう。
「え……。お兄ちゃん、予定あるんだ……。そうだよね、お兄ちゃんも忙しくて当たり前だよね」
あれ?思ってた反応と違う……?
いや、気のせいか。
「明日は中学のときの友達と久しぶりに会うことになったんだよ」
「あ〜、やっぱり中学のときの友達かぁ〜。最近、高校の友達とは遊んでないよね、お兄ちゃん」
さすがに唯も勘づいてはいたか。
そりゃそうだわな。
もう二ヶ月以上遊んでないから気づいて当然か。
「じゃあお兄ちゃん、明日は楽しんで来てね!」
「おうよ!」
我ながらこんな優しい妹を授かって幸せだと思った。
というか周りが冷たすぎる。
よくわからない変人の放送室乗っ取り事件だけで俺を差別的な目で見るなんてよ……。
今さらどうこうしても仕方ないんだけどな。
翌日、俺は朝起きて準備を始めていた。
いや、まず寝てない。
楽しみすぎて寝られなかったのだ。
よくあるイベントの前はわくわくして寝られない的なアレだ。
唯は珍しくまだ起きてないようだ。
俺は用意を済ませ、待ち合わせ場所へと向かう。
待ち合わせ場所には既に二人が来ていた。
「久しぶりだな。元気にしてたか?」
「久しぶり。元気にしてなかった」
このごく普通の流れ、安定感抜群だ。
ちなみに彼は
なぜか、あだ名は オフ0 だ。
深くは追求しないでおこう。
「なに一人でボケーッとしてるのよ。久しぶりだっていうのにもっと嬉しそうな反応はできないわけ?」
「悪い、オフ0の安定感のあるトークに安心して無になってたわ」
「淮、なにかあったでしょ。友達なんだしそれぐらいわかるよ」
まったく勘のいいやつだ。
この圧の強い彼女は
あだ名は たいま だ。
おそらく対馬から来ているんだと思う。
「淮が来たからあとはあいつだけだな!」
「だね!はやく会いたいね〜」
そうか、あと一人いた。
まだ来てないが、あいつには俺も早く会いたくてたまらない!
俺たちは中学のころ、四人で動画投稿サイトに動画を上げていた。
グループの名前は dreamers だったはずだ。
そして、まだ来ていない彼女こそが、我らがリーダーなのである。
「────お待たせしちゃったね〜♪」
妹には話せない俺の腐った青春 飛鳥 未知琉 @kurikinton_v
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