第8話

その場にいた5人は唖然としてユリナの顔を見つめた。

(そんなの嘘だ!とても信じられないよ!)ロビンとショーンが同時に叫んだ。

(よかったら、わたしたちにあなたの身の上話をゆっくりと聞かせてくれる?)クラスティーナの言葉に答えるようにユリナは落ち着いた声で自分の体験して来た事を話し出した。それはアズの人々にとってはならとても信じられないような奇妙な話しだった。

(わたしが生まれたのは地球というと名の惑星の小さな島国でした。わたしたちは家族と一緒に平和に暮らしていましたが、ある日突然、恐ろしい戦争が起こって、わたしたちの住んでいた街は破壊つくされてしまいました。

(君の生まれた島国ってどんなところなのかい?)コナリーが尋ねた。

(わたしの生まれた島国はとても美しい自然に囲またところだったわ。人々は戦争の起こる前までは平和に暮らしていたのだけど、戦争が起こったのでまるで地獄のような状況に追い込まれたの。)

(その島国の名前は何というの?)クラスティーナが尋ねた。

'(今はあまりその事に触れたくないわ。ただ太陽を意味する名前だったと言っておきます。わたしはもうこのアズロスの住民なのだから、忌まわしい過去は早く忘れてしまいたいの!)

(ふーん、ユリナさんはずいぶんと大変な思いをして来たんだね。)とロビンが同乗するようにポツリと言った。

(わたしは家族と一緒に敵によって焼き尽くされた街の中を投げていた時、大勢の逃げ惑う群衆の渦に巻き込まれて、いつしか家族の離ればなれになってしまったの。気がついたら、わたしは真っ暗な路地にいて、寂しさと恐怖で震えていたわ。でも何とかして逃げなくてはいけないから勇気を出して暗闇の中を一歩前に進もうとした時、後ろから来た男の人に押されて、弾き飛ばされてしまったの。すると目の前に大きな穴が開いていて、わたしはその穴の中に落ちてしまったの。その時、わたしはもうすっかり死んでしまったのかと思ったわ。)そこでユリナは急に大粒の涙を流した。

(どの世界にも戦争はあるんだね。このアズロスにだって今まで何回も戦争があったんだよ。ロビンがそっと言った。

(戦争なんてなければいいのにね。何で人々は意味の無い戦争なんてするんだろう?)ショーンがロビンの横でそっとつぶやいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る