第3話
家族3人が朝食を食べているとき、不意に玄関の呼び鈴が鳴った。
(あら、こんな時間に訪ねて来るなんていったい誰かしら?)クリスティーナが言うのとほとんど同時にジュウドフが慌てて玄関へと向かった。ジュウドフには何となく気配で玄関の外の人物が誰だか分かっているようだった。
(ジュウドフ俺だよ!)
玄関の外からジュウドフには聞き覚えのある声が聞こえて来た。
(おお、ボブやっぱりお前だったのか!)
ジュウドフが玄関を開けるとそこには地味な紺色の服装をした小男が微笑みを浮かべながら立っている。
(ずいぶん久しぶりじゃないか?ボブ!いったい俺に何の用があると言うのだ!)
(実はアンドリュウ王がお前にとても会いたがっているのだ。俺たちと一緒に今すぐ王宮に来てくれないか?)良く見るとボブの後ろに3人の屈強な護衛護衛のような身なりをした男たちが立っているのが見える。
(ちょっと待ってくれ!と言うことはアンドリュウ王に何か良くないことがあったとでと言うのか?)ジュウドフの言葉の終わらぬうちに、玄関の開いた隙間から一羽のハヤブサのような鳥がジュウドフの右肩の上に大人しくとまった。その鳥の右足には手紙らしき紙がくくりつけられている。
(おっ!この鳥はコナリーの飼っているスピーザじゃないのか?)
(なっ!何だ!この鳥は?)ボブが驚いて叫んだ。
(すまん、ボブ。この鳥は俺の親友のコナリーが飼っているスビーザという鳥だ。コナリーは何かを俺に知らせたいことがあるようだ。少しだけ俺にこの手紙を読ませる時間をくれないか?それは家族にも俺が王宮に書くことを知らせなければならない。)
(分かったよ。ジュウドフ!それでは少し待たせてもらうよ。)
(あら、ボブさんでしたか?ずいぶん久しぶりね。どうぞわたしたちの家の中でゆっくりくつろいで下さい。)クリスティーナが笑顔で言った。
(分かりました。奥さん、それではお言葉に甘えさせてもらいましょう。)
そしてボブと3人の護衛たちはジュウドフの家族のいる部屋の中に入って行った。
(俺はコナリーの手紙が読みたいから少し奥の部屋に行っているので、すまないが、ボブ、お前たちはこの居間でくつろいでいてくれないか。)
ジュウドフは急いで隣の小さな部屋に入って行くとすぐにコナリーの手紙を開いてみた。そこには次のような内容の文章が書かれていた。
(ジュウドフよ!気を付けた方がいいぞ!魔界からの刺客がお前を抹殺するために放たれている。お前だけでなくお前の家族の命も危険に晒されている。私は今、お前の家に向かっている。ところだ。もう少し待っていてくれないか。)
(コナリーよ。少し遅かったようだな。俺はこれから王宮に向かわなくてはならないのだ。)ジュウドフがつぶやいていると隣の部屋からクリスティーナがやって来て彼に告げた。
(あなた心配しなくていいわよ。話は今、ボブさんから全部聞いているわ。コナリーさんが来たらわたしから事情を説明しておくから、あなたは王宮に行っても大丈夫よ。)
(しかしお前たち2人を残したまま俺がいなくなったら、いつ敵が襲って来るかも知れな^_^ないか。)
(わたしたちのことなら心配しなくていいわよ。あなたはわたしがスティック.バトルの名手だと言うことを忘れたの?コナリーさんが来るまでわたしたち2人でこの家を守ってみせるわ。)
(クリスティーナそうだったな。お前の腕前は俺が良く知っている。それに魔界の刺客が狙っているのはこの俺だ。コナリーのことだからきっと何か先手をうっているだろう。それでは後のことは任せたぞ!)そう言い残すとジュウドフはコナリーのいる部屋へと戻って行った。
(待たせたな。ボブ!それでは王宮に行くとしよう。)
(おう、お前の家族のことなら心配するな。見張り役を何人かつけてもらうように頼んでおくとしよう!)ボブは自信があるように見える。
こうしてジュウドフはクリスティーナとロビンを残したままゴッド.ソードを携えて王宮に向かうことになった。
その頃、何も知らないコナリーはジュウドフの家に行く道を歩いていた。
(ジュウドフの奴、元気でやっているだろうか?もう手紙はすでに読んでいるはずだが。)その時だった。コナリーはまだ少女と言ってもいいような若い女性が倒れているのに気がついた。
コナリーは慌ててその倒れている少女の元に駆けつけた。
(お嬢さん、どうしたんだい!しっかりしなさい!)コナリーが少女を揺すって起こそうとすると、少女の目が突然、ぱっちりと開いた。その目の色は黒く髪の毛も黒かった。黒髪が日の光を受けてキラキラと艶やかに輝いている。また少女は外国人なのか奇妙な服装をしている。コナリーにはその少女がとても美しい存在として見えていた。少女はコナリーを見るなり、怯えたように身を引いた。
(そんなに怯えなくてもいいんだよ。私はあなたに危害を加えるような悪い人間などでは無い!安心して下さい!)そのコナリーの優しい態度に安心したのか、娘は逃げ出そうとはせずに、コナリーの側に近づいて来た。
コナリーは自分の方を指差してゆっくりとした口調で(コナリー)と言った。娘は言葉は分からなかったもものそれがこの男の名前と理解して、自分の方を指差して(ユリナ)と言った。
(ほう、それが君の名前なのか、不思議な名前だが、君に似てとても可愛らしい響きのある名前だな。)
その時、2人の背後の林の中からゴソゴソと大きな音が聞こえて来た。
コナリーのユリナがそちらの方を振り向くと、5、6人の見るからに悪意こものこもった顔つきの男たちが現れた。
(おい、そこの男!その娘を俺たちに渡してくれないか!俺たちはさっきからその娘が欲しかったんだ。てめえ横取りするつもりか!)男の1人が言った。
(どうやら、お前らはあの辺を荒らし回っている悪党だな。残念ながら、この娘さんをお前らに渡す訳にはいかない!)
(こいつ!俺たちをなめやがって、そんなに痛い目にあいたいのか!)
ユリナはすっかり怯えてコナリーの後ろに隠れた。
(ふん、お前らの魂胆は分かっているぞ!この娘さんをどこかの売春宿に売って大金をせしめようというつもりだろう!)コナリーが言った。
(この野郎、いい気になりやがって!
構うことはねえ!やっちまえ!)
(お前だってこの娘をそそのかして自分のものにしようと思っているんだろう!)
(そうだ!こんな貧弱な貧弱な野郎が俺たちに勝てる訳がねえ!)そして男たちは今にもコナリーに襲いかかろうとしている。
(残念ながら私はお前らほど心が汚れていないのでな!それに人を見かけで決めつけるのは怪我の元というものだ。)
(生意気な野郎だ!俺たちの怖さを思い知らせてやる!)激怒した男たちは手にした棍棒やナイフなどでコナリーに襲いかかった。
(愚かな奴らだ!テネブラエ.バレオー.トリユーム...。)コナリーが呪文を唱えると手にした蛇のように曲がった杖の黄金色の光線が放たれて男たちの目を貫いた。
(いてててて..。)男たちはあまりの激痛にその場にうずくまってのたうち回った。
ユリナはその光景を見て驚いてコナリーから離れようとした。
(こいつらを心配することはない!これは初歩の魔法でしばらくすれば奴らの目は元どおりになるだろう。さあ、先を急ごう!)コナリーの言葉こそ分からなかったが、ユリナは彼の自信に満ちた態度からこの人について行けば、間違い無いだろうと思いコナリーに従うことに決めた。コナリーとユリナの向かう先はもちろんジュウドフの家だった。
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