第2話 男性デザイナー相談者

今日の予約は男性(25)仕事はデザイナーと言っていた。

仕事の悩みだろうか。

まぁ 出来るだけ先入観を持たずに 話そう。


「はい おまたせしました。ご相談内容は?どんな分野でしょう。」


単刀直入に聞いたのは へんに脱線させて ただのお喋りにならないよう的を絞る為。


「えっとーっすね よく分かんないっす。」


帰ってきた返事は 正直こちらもよく分からない。

呆気にとられた。


「あの ご相談があったから こちらに予約されたんですよね?」


「あー…なんか今 こういうのがあるよって聞いて 何となくやってみようかなーって。で ここってどういうところです?」


ああああ 叫びたい。

最近こういうのがよくあるのだ。

サイトの説明を読まず いや実際読んだかどうかもわからないが 考える事調べる事をはなっからせず とにかく聞く。

スマホのAIに聞いてくれ…と度々思う。

とりあえず 僕のサイト説明とやっている事を 僕なりにわかりやすく伝えた。

そして 改めて相談事の質問をした。


「うーん 何か難しいっすね。じゃーなんか適当に占って下さい。」


だから…何を?!

一応 占いもやっており タロットの入門程度。

なぜかと言うと 言葉でやり取りしても信ぴょう性をもたすには道具があると より効果的でちゃんと聞いてくれる。

僕のヒーリングは 会話をして相手の心と共感性をもち 答えを導く方法だ。

わかりやすくいうと 臨床心理士がやるカウンセリングと似ていて 質問したり ヒントを導き自己で答えを見つける手伝い と言ったところだ。

受ける側は 教えてくれた…と思うかもしれないが 元々人は話す事で客観的になり 冷静な判断で迷いや悩みの解決策を 自分の取り掛かり安い方法で解決できるのだ。

僕はその 道先案内人だ。


さて

どうしようこの人。

時間ももったいないし とりあえず全体運を占った。

そこにカードの意味を 僕の解釈を交えて説明する。


「アナタは結構面倒くさがりですか?一個づつ丁寧にやらないと 事は長続きせず人も離れていきますよ。」


よっし!やんわり注意も加えたぞ。


「うーん 言ってること難しいっすね。なんかわかんないや。俺シロウトなんで。」


それだよそれ!!

そういう所がいけないと言ってるんだよ!

はぁはぁ…静まれ僕。

荒ぶりそうだった…。

だいたい 僕だって国家資格を受けたプロじゃない 同じシロウト。

それに 対話することにシロウトどーのって関係ないだろうが。

ああ すまない。

こういう人が今回初めてではないので またかと色々突っ込みたくなる。

わかんない〜って言っていいのは 可愛い子か ロー〇だけね!

許してくれるのは 世間が!

はぁ また突っ込んでしまった。


気を取り直して…。


「どの辺が分からないですか?分からないなら 知ってる事教えますよ。」


どーだ!

これでちゃんと会話のキャッチボールができるだろう。


「うーん 苦手なんですよ。こういうのって。勢いでやってるんで。」


え?

ええ?

なんとおっしゃってます?

自分からサイト開いて 予約したよね?

苦手でキチンと項目埋めて 予約とるかな。

勢いってなんだよ。予約の勢いってなんだよ!


もうヤダ…。


「えっと 分かりました。今回はコレで また次回利用方法をりかいした上で予約下さいね。」


「ですねー。勉強しときますね〜。」


数日後 。

僕のサイトレビューに この男性HNでこう書いてあった。


(ここの人難しい言葉ばかりで 訳分からない。シロウト相手にマジきつい。)




誰か。

僕を癒して下さい。

現代でヒーラーは つらいです。

転生させてください。

異世界に。

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