異世界に転生したいヒーラーです

Len

第1話 プロローグ

僕はヒーラーだ。

唐突ですが…転生 出来ればしたい。


現代でヒーラーは まったーく役に立たないのだ。

最初だからヒーラーになった経緯を説明しなくては…。


新聞の折り込みチラシとかじゃなくて ちゃんと約1年ヒーラーマスターの所で色々教わり ある日突然

「はい おめでとう。認定証ね。」

と マスターのおばちゃんに賞状みたいなのをもらった。

もちろん 履歴書なんかに書ける資格じゃないけど けれど本当にいるんだよ 現代にも。

僕がマスターを見つけたのは ある本だった。

「ことばでヒーリング」という絵本の様な綺麗な表紙で 何となく手に取って読んだ。

内容は確か 詩集をよんでるような わかりやすい文章。

ただ 普通の詩集と違って 読んだ後なにかパッとひらけたようになった。

気になって作者を調べると ヒーラーマスターで各地で転々と講演会をしていた。

それとホームページがあった。

そこには年間の予定開催地が書かれて 僕の地域にも来ていたし 今後も予定に組まれていた。

僕は好奇心が強い。

作者に会えるのなら 会ってみたいと思った。

そして 早々講演会参加予約を入れて 開催日まで待った。

小さな公共のホールで行われ 思った以上に人が埋まり 隣に腰掛けてる人はマスターが今まで出した本 数冊持参して来ていた。

けっこう 執筆しているらしい。

下準備もせずに来たので 何か1人浮いていた。

どうやら予約しても定員が決まっていて 僕はギリギリ入れたらしい。

講演会が終わると 数分個人的に質問や弟子希望者を受け付けていた。

正直に言おう…講演内容を聞いて そそくさ帰ろうとした。

思ったより心に残らなかった。

もちろん 弟子希望でもなかった。

これも本当に偶然だ。

デモンストレーションの時間があって マスターに指さされ 前に出された。

5人のうちの1人で マスターが言う言葉を復唱する単純なデモンストレーション。

僕の番になり ぼーっとしていたせいもあって 前の4人のようにキチンとテキストの文章を覚えれず 僕なりに言いやすい言葉に変えた。

さすがに 注意をされた。

「どうして君は 勝手に変えるの?」

若干 不機嫌に言われ 余計早く帰りたかった。

周りの視線が この失礼なヤツ!と言わんばかりに冷めた表情。

とりあえず 終わり帰ろうとした時呼び止められた。

「あなた どうして言い替えたの?みんな素直に読み上げるのに」

本当に不機嫌にさせたんだなと思ったけど 正直に言いづらい言い回しで…自分の言いやすい覚えやすい文章に変えたことを言って 再度詫びた。

「珍しいこね。あなた明日時間ある?まだココに数日滞在するので 少しお話しません?」

多分それがきっかけで ただの対話が気づくと1年と少し あーだこーだ言い合ってたら ある日 認定証を貰ったんだ。

もちろん 自覚なんて全くなかった。

けれど マスターの所で代わりに と言っても前座役で相談を受けた時 泣いてありがとうという人 楽になったと笑顔を見せる人を見てきた。

僕はとりあえず 間をもたす事が出来たと安易に考えてたが マスター言うには あれが全部 修行だったらしい。

結果的に対談討論会の延長で 僕はヒーラーになった。


今の時代 直接逢いに行くのはお金もかかるし 手間もかかる。僕自体が 卒業して就職難でバイトの掛け持ち 時間もお金もない。

マスターのアドバイスでWebサイトを立ち上げ ネットで通話をして相談を受ける経験をつむことになった。

僕のホームページには そこそこ予約が入り 1時間ひと枠で通話をして行った。

口コミで広がり 予想より早く固定相談者や紹介でとか 色々な人からコンタクトがあった。

最初の数ヶ月 本当に感謝され お礼まで届いた。


問題は 思った以上に広まった事と ターゲット層が…言いづらいが会いたいけど会えない都合で相談という訳じゃなく 元々会う気はないっというか ネットで話したい層が僕のサイトに続々集まってきたことだ。


その結果 僕は現代に疲れてヒーラーの需要ある世界 異世界でもどこでもいい。

「転生 出来るんならしたーい!」

そういう事だ。


どんな相談が来るかって?

ちょうど予約の時間だ。

まぁ 実際どういうのか知ってくれたら 僕の言いたいことも伝わるだろう…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る