第3話 おっさん視点
俺の名前は覚えてもらわなくてもいいがマルケスって言うんだ。俺は分け合って貴族さんの御者をしている。たった今俺は仕事中だ。
『いやぁ~。いい天気だな。こんな日には草むらで昼寝なんかしたら最高なんだろうな~』
なんて余計なことを考えていたら、馬車の前にひとりの少女が飛び出してきた。
「ぅおっぶ」
ドスッっと鈍い音が鳴り衝撃が伝わる。
「やばいやばい」
俺マルケスは、人をひいてしまった。しかもその人はかの有名な公爵家の令嬢だ。こんなことが知れ渡れば、俺の首はおろか雇い主の首まで飛んでしまう。だがしかし、隠蔽なんてもう無理のようだ。なんせここは貴族御用達の店がそろう商店街の大通り
。警備隊が来るのも時間の問題だな。
それよりも不可解なことが一つある時速十数キロで動いている馬車にひかれたにもかかわらず公爵家の嬢ちゃんは無傷なのだ。
いや、さすがに着ているのまで無傷かと聞かれれば答えは否
嬢ちゃんのドレスを見て思いつく言葉は『元は上等だったんだな。』だ。そうだっただ!今は砂ぼこりにまみれて所々破れている。
嬢ちゃんが目を覚ました。
ここはしらばっくれるしかないか。
「おい、嬢ちゃんここで何をしているんだ?もしかして迷子か?」
自分で言っておいてなんだが芝居臭くなってしまうな。
ワンテンポ遅れて嬢ちゃんは顔をしかめる。
その後は混乱しているのか目の焦点が合っていない。
「おい、嬢ちゃんしっかりしろ!」
嬢ちゃんの目の焦点がだんだんあってくる。
「お!ちょっと意識が戻ったようだな。」
だんだん嬢ちゃんの目が死んでいく。
そして嬢ちゃんは自分の股間のあたりを触る。ん?トイレか?
「あ、ぁぁ・・・」
嬢ちゃんの顔がだんだん青ざめる。
「おい、馬車をいきなり止めて何かぁ
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー」
俺はびくっとする。嬢ちゃんが叫んだのもあるが雇い主が出てきたのにもびっくりしていた。
そんな事を考えていたら嬢ちゃんがまた気絶した。
「嬢ちゃーん!」
だめだ
警備隊が駆け寄ってくるのが見える。
「雇い主さんよぉ、やっちゃいました。」
雇い主はうなだれてポツリとこうつぶやく
「終わったな・・・」
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