対価と恩

中年の男性は、妖精町の計画を実現する為に、天才が沢山の資産家へ話を持ち掛けていた頃、男性天才と出会った。


資産家の男性は資金を出す代わりにある妖精を呼べないか? と聞いたら可能だと答えた天才へ資金を出して妖精を呼んでもらう事にした。


昔、偶然出会った妖精に助けられた男性は用事が有って別れてから再開できず、いつか再会して恩を返したいと思い続けていた。


妖精町を作る最中に関係者として未完成の妖精町へ天才から招かれた男性は指定した個体の妖精と再会できた。




天才を恩人と語った老人は、お金の対価と言えど、彼のおかげで再会できた事実に感謝している。


お金以上の恩を抱く老人は、天才に何を返せるか考え続けていたが、天才の死で叶わなくなった。


妖精の導きで売られている獣人の少女が転生した天才だと分かった老人は恩を返したい一心で後先考えずに買った。多少値段を吊り上げられたが気に成らなかった。


妖精飼いとしての価値で生きていた前世の記憶を持ちながら、妖精を知覚できない絶望的な状況の少女を幸せにできる方法を必死に考えた老人は、自分が媒介に成って妖精と関われれば変わるかも知れないと「五感に成る」などと提案した。


旧市街や妖精町では獣人の少女や妖精と暮らせない(暮らしにくい)と考えて、目立たずに暮らせる都市部から離れた郊外へ移住した。


仕事は引退して隠居生活をしている老人は死ぬまで少女の生活を支援できるが、死んでから少女が妖精と過ごせる環境を残せるか不安だった。


奴隷に財産は残せず、身内に少女を理解して居場所を作れる者は居ないと考えた老人は、時間を作っては後見人を探していた。


老人の個人資産は沢山あり、遺産を欲する子孫からご機嫌を取られているが、お金が目的だと考えると嬉しくない。少女と妖精を飼っている方が楽しくて価値が有った。


価値が有っても奴隷の地位に邪魔されてお金や家を残せない社会は気に入らないが直ぐには変えられないと諦めて、異なる信頼できる相続人を探そうと考えていた。


お金などは家族に残して、少女に加えられる危害を減らそうと、家族に多額のお金を残した。


昔、仕事を依頼していた妖精飼いに弟子入りしていた男性へ会うために旧市街へ行ったが、目的の人物は亡くなっていた。


息子に出会い、世間話をして、夢を知った老人は可能性を追おうと少女が欲しいかと聞いた。


時間的な焦りがあった老人は男性の息子へ期待する以外に道は見つからないと判断して少女を譲渡した。散々探し回った後の出来事。






少女はお金の対価に妖精を呼んだだけで、取引としか認識していないから、老人が恩を感じている程、自分の価値を実感できない。理屈で何となく想像している理解しようとしている程度。



老人はお金を積んでも中々、叶わなかった妖精との再会にお金では叶わない程の価値が有り、叶えてくれた天才にお金を超える感謝を抱いている。お金は再会の必要経費だと思っていた。

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