誤り

少年B老人Xの家へ通い始めてから一週間が経っていた。


弟子は取らないと断っても弟子入りを諦めない少年Bの情熱に押されている老人Xを見ていた獣人じゅうじん少女Aから「私はかまわない」と背中を押された老人X少年Bを弟子にした。


師匠Xから奴隷の少女Aを秘匿しろと誓わされた弟子Bは必要性が分からず疑問を抱いた。


妖精フェアリーが暮らす場所に妖精を感知できない獣人が居る危険性を理解する弟子B師匠Xに訊ねたら「彼女Aは大丈夫だ」と返答されたが大丈夫とは思えなかった。


勤める工場の仕事終わりや休日に師匠Xの家に通って妖精の世話や環境を整える手伝いをしながら妖精の知識を教わっていた弟子B師匠Xより獣人の少女Aの方が妖精に詳しい事に気付いた。


妖精と同居する獣人の話など聞いたことが無かった弟子Bは妖精と獣人が共存できないと言う考えを改めざるを得なくなって師匠Xから言われた彼女が大丈夫な意味に気付いた。


実物を見ないで妖精と同居する獣人を信じる者は今の人間社会には居ないから師匠X少女Aを妖精から引き離されない為に秘匿していると考えた弟子Bは心から秘匿したいと思った。



主人Xに弟子入りして間もない少年Bから奴隷身分を理由に見下されていた獣人の少女Aは考えを改めた少年Bへ侮辱された過去を材料に揶揄いながら妖精に関する知識を教えた。


前世では自分の為だけに知識を使っていた少女Aは始めての教え子に等しい少年Bを気に入っている。



師匠Xの下で妖精と触れ合う内に都市の学校で妖精を学びたいと思い始めていた弟子Bは受験を合格して学校に通うために約二年の弟子生活を終えて故郷を離れた。


前世は望んで孤高だった少女Aは人の温もりを知って教え子と別れる寂しさを抱いていた。

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