ちょーうん! 4-2 

第一次北伐が終わって、

漢中かんちゅうに引き返した後のことっす。


趙雲ちょううんの軍には

軍事物資の余剰があったっす。

特に多かったのが、衣類。


なので諸葛亮しょかつりょう

その余った絹を兵たちに

分け与えておやりなさい、

そう趙雲に指示しました。


そしたら趙雲、首を振るっす。


「敗北した軍に恩賞ですか?

 それは理屈として

 おかしいのではないでしょうか」


おいおい厳しい、

厳しすぎるよ趙雲くん。

諸葛亮がなだめようとしたところに、

趙雲、言葉を継ぎます。


「一旦、全てを接収し、

 赤岸せきがんにある倉庫にしまってください。


 そして冬になったら、改めて

 将兵らに下賜なさってください、

 寒くなってくるでしょうから」


あげることそのものには反対じゃない、

けど、タイミングじゃない、ってことか。


確かにそうすれば、兵士たちにとっても

与えられたもののありがたみが増す。


諸葛亮、趙雲のこの提案を、

大いに称賛したそうっす。




雲有軍資餘絹,亮使分賜將士,雲曰:「軍事無利,何為有賜?其物請悉入赤岸府庫,須十月為冬賜。」亮大善之。


雲の軍資餘絹を有せるに、亮は分けて將士に賜わしめんとせば、雲は曰く:「軍事に利無きに、何ぞ有賜を為さんか? 其の物、悉く赤岸の府庫に入れんと請う、須く十月、冬に賜りたるを為さん」と。亮は大いに之を善しとす。

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