聖夜
12月24日。街は賑わう。彼らはどこまで知り、どこまで祝っているのだろうか。
「主」、イエスキリストの降誕日を。
一説によると、イエスがこの世に生を受けたのは少なくとも12月ではないとも言われている。しかし、楽しむ彼らにとっては瑣末なことだろう。
この街の空気は、その日は幾許か軽くなる。多くの者が、数多の苦悩を忘れて楽しもうとするからかもしれない。……そう考えれば、ナザレのイエスもいまだ救世主であるとも言える。
……教会の扉が開いている。磔の男が項垂れている。
神を信じていない人間にとって。今もなお崇められるその男はいったい「何」になるだろう?
弟子に裏切られ、石を投げられ、十字架を担いでゴルゴタの丘で非業の死を遂げたただの人間だったことになるのだとしたら、
何人、似たような「異端」がいたことだろう。
「……お前は、運が良かったな」
穢れたままの異端者は、死後に救済された2000年前の男を妬み、冒涜するように吐き捨てた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます