第20話リザレクション・ウェザー④

そんな事を横目に、佐々木が清島先輩に話しかける。


「先輩、後どのぐらいなら能力を使えます?」


「...一箇所なら15秒、二箇所なら13秒、三箇所なら10秒、限界まで設置すると3秒程度で七箇所だ」


すこし不安げにボソボソと返事をする。


「そうですか、なら余裕ですね」


ホッと安堵の息を吐き、清島先輩にまたB.B弾を見せる。


勿論この行動から想像できるのは、ただ一つ。


『ここに能力を使ってください』だが、B.B弾に絶対に可視不可オールド・ピンボールを使って攻撃するのはついさっきやったばっかりの作戦だ。


困惑するのも当然である。


「えっ、でもそれはさっき...」


「いえ、さっきのとはすこし違いますよ?特に...能力を発動させるタイミングがね」






「くっ...」


さっき床を蹴った時の衝撃と、その時に思いっきり切り傷をつけたところを両手で抑える。


「やっぱり無理するべきじゃなかったな...ッ!?」


そんな事を呟きながらも前を見つつ、視力を強化して警戒していたのだが、その強化された視覚が小さい動くものを捉えた。


B.B弾だ。


しかし、今回の弾はいつものオレンジ色の様な物では無く赤色の物だ。


たった一瞬だけであったがそこまでの事を一瞬で理解できた。


なんだ?流石に色が変わっただけで何かが変わったとは思えないが...


カチンッ!


その飛んできた赤色のB.B弾は空中に浮かんでいたガラス片にぶつかったのだ。


「チッ...」


舌打ちをしながらいきなり軌道が変わった赤色のB.B弾を軽々と避ける。


しかし、


カチンッ!


またまたガラス片に跳ね返り、また別のガラス片に跳ね返って自分の方向へ来たのだ。


「跳弾か...それを繰り返す事で俺が疲れるのを待っているのか?」


今度は3回跳ね返って自分の方へまたまた飛んでくる。


小賢しいッ!!!


左腕を思いっきり薙ぎ払う形で飛んでくるB.B弾を弾き飛ばしたのだ。


すると、


奥の方から声が聞こえてくる。


「触ったな?お前、そのたまに触ったな?」


この声は佐々木である。


「さすが身体強化系の能力者、これくらいの攻撃は効かない...例えるならそこら辺に落ちている小石を踏んづけて蹴っ飛ばすぐらいだ」


そこまで言い終わると、すこし困ったような顔をしながら話を続ける。


「だけどよぉ〜今回は...蹴っ飛ばす小石がデカすぎたようだな、左手を見てみろ、俺たちの攻撃はもう既に終わっている」


佐々木はさっと後ろを向き、背を見せながら歩いて行く。


それと同時に左手を見る...いや、見るまでも無かった。


「なっ、何だこれ?病気か!?」


左腕が真っ赤になっていたのだ。


その赤色はあと少しで首まで届く。


「私の能力、どうやら間接的にも聞いたようね」


いきなり響いた聞き覚えのない声に疑問を覚える。


「私の名前は清水、能力名は【赤い手レット・ハンド】能力は...ってもう聞いてないわね」


不味い、不味い!!


どうする?何を強化する?


そもそもこの赤色のは何だ?




「今だ、能力を解除しろ堂理」


桐条がそう言った途端周りのガラス片が落下を始める。


「そして...能力を奴めがけて発動させて下さい!清島先輩ッ!!」


能力、絶対に可視不可オールド・ピンボールが発動する。


周りに浮かんでいるガラス片計6個の一部が青白く光り、奴に高速で向かう。


「これで...どうだぁぁぁぁ!!!!」

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