第12話Sクラスはすごいのです。
路地裏などを抜けていつもの通学路に出る。
「はぁー、今日はパシられないといいな...」
そう呟きながらポクはトボトボと歩いていると、後ろから肩を叩かれる。
「あっ、何でしょう?」
そう言いながら振り返ると...紫色の制服を着た女子がいたのだ。
紫色はSランク、持っっっのすっっごい大物である。
そんな人がこんな底辺の人間に声をかけるのはあれしかないだろう。
「あっ...す、すみません、お金は持ってないです」
「え?あ、あの...」
彼女は慌てているようだが、まぁ、SランクがDランクに声をかけるなんて...
「い、いや、だから私は...」
「すみません...五百円しか持ってないのですが、これでいいでしょうか?」
そう質問すると彼女は震え始める。
「.........」
「あっ、そうですよね、五百円じゃ...」
そう言って千円札を出そうとした時に彼女が大声を上げる。
「ちっがーーーう!!!私とあんな奴らを一緒にしないで!!」
「っ!?」
僕はその気迫に驚き、彼女に背を向けて学校に向かって全速力で走り出す。
「ちょ、ちょっと!待ちなさいよ!!もう!!【
ピュゥゥンッ!!
「なっ...」
彼女は一瞬で距離を、30mぐらい離れた距離を詰めたのだ。
「取り敢えず、手短に話すと私達は貴方達を助けに来たのよ、Dランクさん」
「..........」
彼女はウィンクをしてこちらを見る。
すると...横から声が聞こえて来る。
やたらと語尾が伸びている声だ。
「あっ〜栗原くん〜どうした〜って!......な、なんで貴方がここに...貴方の家は真反対のはず...」
堂理ちゃんがとても驚いているが、知り合いなのだろうか?しかしSランクの人と知り合いなんて...
「ん、あっ、ここに居たのね!!我が妹!!」
「は?」
その言葉に驚き、一瞬だけ何も体が動かなかった。
「あー!やっぱりこっちの道に来てよかったわまさか妹がこっちの道を通っているなんて思いもしなかったから今日はとてもいい日ね、そんな事よりも堂理最近の学校はどう?楽しい?つまんない?面白くない?そう、あっ、そう言えばCランクのゴミどもがDランクを襲ったって言う事件を何度か聞いた事があるわ!つまてことはCランクの奴らにこの2人は攻撃されなのかしら...心配だわ、あっ、さっき言ったと思うけど困った時は私に頼ってね!!」
「っ!?や、やめて、ねーさん、早口すぎて...死ぬ」
「えぇ、僕は死ぬほどではないですが全く聞き取れませんでした」
「そ、そう...これ私の悪い癖なのよね」
「あはは...」
そう、Sランクの人と話していると彼女の後ろからものすごい勢いで近づいて来る人影が見える。
「まっ、まさか...」
「ん?どうしたの?」
そしてその人影が近くに来ると僕は目を疑った。
ブィィィィィィィィン!!!!!
チェーンソーを持ったままこちらを血涙を流しながらものすごい勢いで近づいて来る女の子がいたからだ。
「堂理お嬢様にDランクが話しかけるなと万死に値するぅぅぅぅ!!!」
そう言いながら彼女はチェーンソーを僕に振り下ろす...前に、
「【
ものすごい勢いで加速した堂理姉がチェーンソー女の溝内に思いっきりパンチをしたのだ。
殴られた女の子はチェーンソーを下にゴトっと落としつつふらつきながら前に倒れる。
するとその女の子が倒れると同時にその子が持っていたチェーンソーが光となって消えたのだ。
「「!?」」
僕と堂理ちゃん(妹)はその不可解な現象に驚き一歩下がる。
その影響で先ほどまでチェーンソーが置いてあった場所をまじまじと僕ら2人は見つめていた。
すると、ゴホンッと咳払いの声が聞こえて堂理さん(姉)の方を見る。
その目からはとても真面目にこちらを見つめており、冗談や嘘はつきそうもない目だった。
「2人とも...あとほんの2分で遅刻だ」
「「えっ!?」」
堂理さんのその発言を聞き、少し前を思い出して行く。
家を出たのは8:50分、この時点ではまだ30分も余裕がある、堂理さんと出会ったのが9:00だから...って!?
「まだまだ時間余裕あるじゃ...あれ?」
気がつくと、堂理さん(姉)もチェーンソー女子も目の前から消えていたのである。
「えっ、えぇ...?」
僕らはその場に立ち竦めていた。
ある少年と少女1人ずつがD棟の前にいる。
2人ともものすごく疲れている様子だ。
実際のところ疲れているのだが...
「はぁ、はぁ、いつも通り来たはずなのに...なんで遅刻しかけてんだ?」
その少年の言葉が全てを物語っていた。
堂理さん(姉)と別れた?後、いつも通りに進み、昨日はこのペースで間に合ったはずなのに何故か今の時間はギリギリである。
考えられるのは、気が緩んでいた、ぼーっとしているときに結構時間が経ってしまっていた、堂理さん(姉)が何かした。
この3つの何れかだ。
だいたいだがこの中だと、ぼーっとしているときに結構時間が経ってしまっていたという説と堂理さんが何かしたという説が自分的には有力である。
「ま、まぁ、栗原君...とりあえず、教室、いこ?」
そう彼女が問いかける言葉と同時に、僕の耳に授業を始める音が聞こえる。
キン〜コン〜!
学園の授業の開始時間を伝える本鈴が鳴る。
「「遅刻だぁぁぁぁぁ!!!」」
ドガァァッ!!
「ぐぇ」
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