第7話華麗なる逃亡...?いいえ、爆発です


相手が能力を発動させて、こちらをジッと見つめる。


「ど、どうする?最初に突っ込んでくるんじゃ?」


「ぼ、僕もそう思うからなるべく僕が防ぐよ」


そんな話をしていると相手が前に体重をかけ、前に倒れる。


そして地面につくスレスレで


ガッ!!


相手の地面を蹴る音が聞こえる。


「「っ!?」」


本当に驚いた


『まさかここまでとは!?』


一瞬で15mぐらいはあった距離を2mぐらいまで詰められる。


「ぼ、僕が!!【自己防衛システムアスタシスタ】!!」


ブワァンッ!


六角形を大量に合わせたような球体が来宮の周りに現れる。


ガギィィィン!!


相手が殴った衝撃を1発だけ緩和する。


しかしすぐにまるで空気に溶けるかのように消えてしまった。


「【回復と毒ライフ・デット】!毒状態、自動回復!」


相手のHPバーが地味に減り始め、紫色に変わる。


来宮のHPバーが緑色から黄緑色になる。


「むっ...毒ねぇ、流石Dランクらしいせこい戦い方だねぇ」


相手がそう呟きこちらを見る。


どうやら何か隙がないか見ているようだ。


「4...3...2...1...」


「させねぇーよ?」


もちろんそんな隙を相手が逃すはずなく、来宮が10秒を数えていると、能力を発動させたまま来宮の近くまで一瞬で移動する。


「ふっ、死ね」


相手は拳を握りしめ、


来宮の溝内を捉えるものすごい威力のパンチを繰り出す。


「なっ...グゥッ!?」


来宮は空中で体がV字に曲がると、5mは後ろに吹っ飛んで行った。


ドサッ、


「グェ...」


ピュウ、ピュウ、ピュウ、


と、変な音を立てながら徐々に来宮のHPが回復して行く。


「成る程ねぇ...回復も出来ると、お前、Dランクにしては使えるんじゃない?Dランクとしてはだけどねッ!」


指をポキポキさせながらこちらに近づいてくる。


「ま、まて!話せば!」



そう言った途端、いきなり視界が後ろに倒れ気がつくとD棟の昇降口の前に座り込んでいた。



多分頭を吹っ飛ばされたのだろう


「ヘッ!やっぱりな!お前...俺のパシリにしてやるよ、ヒーラーは珍しいし使えるからなぁ...それに傷つけてもバレないよなぁ?」


「くっ...」


そう言いながらこちらににじり寄ってくる。


そして相手の手が自分に触れる直前に来宮が立ち上がり、話し掛けてくる。


「やめろよ...もう一度だ!ねぇ、君!いや、栗原君!!もう一度戦おうよ!!」


そうポジティブな意見を僕に言ってくる。


しかし僕はどちらかと言うとネガティブだ、そこで考え方が違ってくる。


「..........」

『戦ってどうなる?負ける、確実にだ、それに僕は無能だ、誰かに守ってもらわないと生き残れないし、僕だけじゃどうにもならない...ここは、来宮を置いて逃げるのが最適ッ!!』


「ほらっ!一緒に!」


「ごめんっ!!」


ガッ!!


僕は地面を蹴り、逃げ出す。


荷物を持って逃げ出す。



家の方面へ


別にその行為に羞恥心は無く、生き残りたい、あいつを犠牲にしてでも生き残る、その一心で逃げ出した。


しかし、後ろに気を取られすぎていたため...


ドシンッ!!


誰かとぶつかってしまったのだ。


「今のは誰だ!!あぁん!?」


『もっとやばそうなのにぶつかってしまったぁぁぁぁ!!!にげろぉぉぉ!!!!』


「すーみーまーせーんーでーしーたー!!!!!!!」


そう思いっきり叫びながらまた逃げる。


「あいつ...まさかDランクの奴だと?そんな奴がこの Bランクの俺にぶつかって賠償金も無しにあんな適当な謝り方で許すと思ってんのかぁぁぁぁ!!!!!【自動追尾ミサイルオート・リッパー】!!!」


ブワァァァ...........!!!!


物凄い速さでミサイルが追いかけてくる。


「なっなっ、」


バァァァーン!!!


勿論現実はギャグ漫画じゃないのでアフロで済むわけがない。


僕は全身はボロボロになり、片足は骨折し、左肩は脱臼した状態で ぶつかったBランク内、遠距離最強と言われるごう 武蔵むさしに捕まってしまったのだ。

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