僕はあなたたちを殺しましたか。

@163peachmelba

音信

それなりに退屈はしていないつもりだ。

くだらない仕事が終われば、不倫相手の左和子と体を重ねる。

華奢で胸の膨らみもないが、体の相性は悪くない。

ペニスを咥えることはあまり好きではないようだが、自分の秘所を舐められることには貪欲だ。

敏感ですぐに絶頂を迎えてしまうのに何度も求め、狭い1Kの部屋からは彼女の喘ぎ声が絶えず洩れ続けている。


行為を終えると左和子は必ずピアニシモを吸い、「本気などではない」と無言で伝えてくる。

体温が下がりだし、冷静になると、罪悪感を感じてしまうのだろう。

俺もそれに気づいていない訳ではない。


旦那が帰ってくる25時よりも少し前、左和子は帰っていく。

そして、それぞれの生活に戻る。

この繰り返し。

満足している、きっと左和子も。

俺に決まった交際相手はいない。

もちろん妻もいない。

時々違う女性と関係を持つことはあったが、左和子との快楽には勝らなかった。

きっと、左和子も。


この後ろめたい恋がバレることはないだろう。

漠然とした自信がある。

そして、何か大きなことが起きない限り、この恋は終わらない。

これも根拠のない自信だった。


2007年3月8日、左和子の誕生日。

同僚に怪しまれる可能性はあったが二人で休みを取り、この日はお互いが音をあげるまで体を重ねようという、仕方のない約束をしていた。

昼間のうちからこの狭い部屋からは互いの喘ぐ声が響いていた。

コンドームも付けないままの行為は続き、二人が行為をやめたのは21時を少し回った頃だった。

外に出したはずの精子はきっと、彼女の体内にも漏れていることだろう。

しかし、それでもいいと左和子は言った。

旦那とはもう何年もセックスをしていないのに、今日だけは必ず抱かれるから何の心配もないと言う。

あまりにも危険だと感じてはいたものの、ゴムなしの彼女の体に快感を覚えずにはいられず、おそらくは妊娠するであろう量の精子が彼女の子宮に消えていった。

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