ミッション1
「リヒト起きてー。出発するわよー!」
キャルがリヒトの部屋に入るとリヒトはベッドの上で仰向けになり、その股間は朝○ちでいつも以上におっ立っている。
――朝から元気ね
キャルは興味本位に触ってみる。硬い。立ったり寝たりは本人の意志で出来るのであろうか。女のキャルには、そういうことがとんと分からない。試しにシコシコこすってみると、
ズピュピュ!
一分経たないうちに出てしまいキャルの手に引っかかってしまった。
「℃〆@£¥▽!」
それは生暖かくキャルは全身に鳥肌が立った。
「ひゃー!」
台所に直行し、洗剤をかけて洗う。ぬめりがなかなか取れない。
キッ!とリヒトの元に戻り改めて顔を回し蹴りした。仮死状態になるリヒト。30秒ほどで目を開けると「おはよう」と挨拶をする。
「昨日は眠れた?」
「うん。たっぷりとね。」
するとリヒトが眠そうな顔をして言う。
「ねぇねぇ昨日、思い出したことがあったんだ。パパと思われるおじさんが『税金がきつい』といいながらお酒を飲んでいるんだよ。これで何か分かるかな」
「ふーん、お父さんはブラックライトに税金を払っていたみたいね。そしておそらく自営業で間違い無さそうね」
「じえいぎょう?」
「そうよ。会社で働くのがサラリーマン、会社に行かずに自分一人で働くのが自営業というの。また何か思い出したら言ってね」
「はーい!」
リヒトが手を上げる。
この日本でもブラックライトにくら替えする者が着実に多くなって来ている。警察はブラックライトの傘下に入ったと聞いている。あとは自衛隊を味方につけるしかないのではないか……
うだうだ考えても仕方がないとリヒトに今日のミッションを告げる。
「リヒト、今日のミッションは楽勝よ。敵の食料庫を奪いにいくの。私の指示に従って頂戴。いいわね」
「はーい!」
食料庫までは車で移動である。その間、リヒトはハムをむさぼり食っている。その顔は獰猛な豹のようだ。
後少しというところで車を降りる。リヒトの下僕は10人乗りのワゴン車から一斉に降りてきて横一列に並ぶ。
「「イー!」」
「今日のミッションは簡単よ。この食料庫を奪うだけ。こちら側のスパイが手にいれた警備員の配置図があるわ。おのおの一人を倒したら味方の援護に行って頂戴。さあ、初仕事よ!」
皆手には機関銃を持っている。実戦投入は初めてだ。上手くいってくれればいいのだが。
リヒトは耳の後ろのボタンを自分で押し、変身した。途端にみなぎる力。入り口の門を飛び越え一直線に警備員に立ち向かう。
警備員は仰天した。巨大な虫が目の前に迫ったからである。銃を取りだし胸を撃ったがびくともしない。リヒトは警備員に右ストレートを繰り出す。
ズバーン!
警備員は膝から崩れさった。生きているのか死んでいるのか、リヒトにはどうでもよかった。ただ倒すこと、それがミッションだからだ。
リヒトはこの巨大な食料庫を旋回してみる。かなりの大きさだ。東京ドーム一つ分くらいはあるのではないか。
別の場所で銃撃戦の音がする。すぐさまそちらに向かうリヒト。空の上から急に表れ回し蹴りをおみまいする。警備員は腰が変形し、壁にぶち当たって伸びてしまった。
下僕は脚を撃たれていたようだ。外骨格なのでかすり傷程度であるがリヒトのように無傷とはいかない。
「大丈夫~?」
「イー!」
「車に戻っているといいよ」
「イー……」
またもや銃撃戦の音だ。今度は倉庫の中のようだ。正門が開いている。音がするところへ飛んで行くと双方ニ、三人づつが撃ち合いをしている。
リヒトは空中から降りながら一人の頭を蹴り、もう一人を右ストレートでぶちのめす。
あっという間だった。
これで警備員全員を倒したのか、しん……と音が止んだ。
「これでよし!やったぞー!」
「「イー!」」
パチパチパチ
「恐るべき戦闘能力ねリヒト。戦闘訓練もなくそこまでやれるとは大したものだわ」
キャルがリヒトを誉める。
「やったぞー!やった!やったー!」
リヒトが空を飛んで回る。
「さあ、ここからは別動部隊に任せて基地に帰るわよ」
「はーい!」
リヒトが右手を上げた。
次の日、コトリとテーブルの上に紅茶が置かれる音でリヒトは目が覚めた。昨日メイドに手をつけちゃいけないよとキャルからこってりとしぼられたので、薄目を開けながら下半身をいじくっている。
そこへキャルが部屋に入ってきた。リヒトは妄想でオ○ニーを済ませるとキャルに笑顔で挨拶だ。
「やあ、キャル。今日のミッションは何?」
「今日は休暇よ。いまラボの方では軍隊蟻の改造人間を大量に生産中なの。これもあなたから貴重なデータを取れたおかげよ。今日は部屋のモニターでも見て過ごすがいいわ。はいこれ。昨日のミッション成功のお祝い」
キャルがワゴンで持ってきたのは和牛のステーキであった。さっそくかぶりつくリヒト。
「今世界中に展開している『クリーンライト』もブラックライトに押されて非常にヤバい状態なの。それで世界中の資産家たちはこの日本にぞくぞくと本拠地を移し初めているわ」
キャルが伏し目がちにため息をつく。
「今日本の警察官は26万人。下僕一人で10人前と見積もって2万6千人必要となるわ。これが私達の緊急の課題なの。後は自衛隊が、どちらについてくれるかの勝負なんだけど……」
「じえいたいってなに?」
「日本の軍隊のことよ。まあ、自衛隊のことは後回しにしてまずは警察の勢力を上回ることが当面の目標なの。変身ポッドを三台に増やして続々と増産中よ」
「それでこっちの軍隊を作るんだね」
頭の弱いリヒトにもその辺は伝わったようだ。
「そうなの。だから食料が大量にいるのよ。それで昨日は食料庫を押さえたわけ。それと大所帯になるからまとまった資金が必要なってくるわ。それで世界の富豪が日本に集まって来ているのは好都合なの。その財源で改造人間をもっと作り守りを固めないとね」
キャルは紅茶を飲み干した。
「さてと、私は仕事があるからこのへんで」
キャルはそそくさと出ていってしまった。
リヒトはさっそくマイクロ HDDをとりだし、モニター横に装着した。ラインナップを見てみると、いかにも中学生が喜びそうなアニメが50タイトルほどずらりと並んでいる。リヒトは一番上から順番に見ることにした。
その頃ラボの方はてんてこ舞いであった。ポッド1号機からはぞくぞくと改造人間が産み出され、2号機、3号機の搬入も終わり、ポッドを制御するパソコンの点検をしている真っ最中だ。
米袋を満載した10トントラックが、こちらの食料庫に横付けし、リフトで奥から並べてゆく。基地内部は一気に活発になってきた。
「……というわけで、食料庫も押さえこの基地も盤石になりつつあります」
キャルは大きなモニターに写し出されたマスター・クラウン に報告をしている。
「自衛隊からはまだ接触はないのかね」
キャルの上司と思われるマスター・クラウンは、少し苛立ったような声色で聞いてくる。
「何もありませんわマスター。それより改造人間の軍隊を組織する方が緊急の課題かと」
「分かった。現場の方は任せる。進捗状況に何か変化があったらまた直ぐに連絡せよ」
「ふう」
一つ大きなため息をつくキャル。今日一日の疲れがどっと出た。
――次に打つべき手は……
キャルの聡明な頭脳がフル回転する。様々なものを取捨選択した結果――
――株ね
キャルの目が怪しく光った。
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