ヘビ型ロボットの栄光と挫折

明弓ヒロ(AKARI hiro)

第1話 栄光

 20世紀末に犬型のペットロボットの発売を皮切りに、様々なペットロボットが売り出されたが、一過性のブームで終焉した。


 失敗の原因は、ほとんどのペットロボットが、犬や猫をモチーフとしたことにある。構造的に四足歩行というものが難しく、犬や猫の動きの速さや滑らかさを実現することができなかった。また、サンプリングされた鳴き声も不自然で、遂には人語を話すなど支離滅裂となり、ペットロボットブームは終了した。


 ペットロボットに代わって、台頭したのが掃除ロボットである。円形の筐体の下に前後左右自由自在に動くローラーと、筐体の周りに搭載したブラシから構成され、フラットな部屋の中を自在に動き回り、隅から隅まで掃除することで、富裕層の間で大流行した。


 しかし、お掃除ロボットは、段差のある場所で使えないという致命的な欠点があった。この欠点を改良したものが、ヘビ型ロボットである。


 標準的なヘビ型ロボットは、円筒形の節と、節と節と繋ぐ関節部から構成される。関節部は6本の伸縮するアクチュエーターから構成され、複数の関節部を同期制御することで、全身をくねらせながら移動する。


 平面上だけでなく上下に体をくねらせることで上下方向にも移動可能なため、節につけたブラシで、段差のある床、机の上、壁面、パイプの中等、家中のあらゆる場所を掃除することが可能となり、またたく間に、従来の掃除ロボットを置き換えることとなった。


 また、シンプルな構造から、大量生産によるコストダウンも可能で、富裕層だけでなく、一般家庭や、ビル等の大型建造物の清掃にも使われるようになった。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る