第5話 鶴女房
「そんなはず、ありません!」「うちの人は人殺しなんてしません!」
おつうとお雪は同時に叫んだ。
「はあ。ちょいと失礼して、詳しくお話をうかがってきますよ」
中村刑事がシッポを揺らして出て行くと、おつうが両手に顔を埋めた。
「まさか与平が死んでたなんて……」
「おつう。信じて。お願い。うちの人はそんなこと……」
瞳を潤ませたお雪がその肩を抱いた。
「わかってる。巳之吉さんは人殺しなんかできる人じゃない」
顔を上げた、おつうは無理にも口角を上げようとした。
そんな幼馴染みをお雪は抱きしめる。
「ありがとう。おつう」
おつうの正体は、言うまでもなく鶴である。
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