5話・始動

「ねぇ、ほって置いていいの?腰抜かしてたわよ。」

「別にいいんです。しょっちゅうですから。」

御伽は、詩歌と出かけるたびに、詩歌をビビらせては楽しんでいるのだ。

「しょっちゅうって・・・

まぁいいわ。というかその敬語やめなさいよ。

なんというか・・・・鬱陶しいわ。他人行儀っぽくて。」

「え、でも、まだそんなに親しくないじゃないですか。

シバンがいいなら、敬語やめるけど。」

「うんうん、敬語じゃない方がいいわ。」

そんな話をしていると、御伽はずっと気になっていたことを聞いた。

「で、いつからそのなんだっけ、幽霊お助け同盟?だっけ。

いつから始めるの?次の土曜日からでいい?」

シバンは御伽の提案に呆れたような声で答えた。

「なに言ってるのよ。明日からに決まってるじゃない。」

「いやでもがっこ」

御伽の声を遮ってシバンは

「学校だからに決まってるじゃない!!」

と、そう言った。

だが、シバンは勘違いしているようだ。

御伽は知っている。

言ってもそんなに幽霊はいないのだ。御伽の通っている学校には。




昼休み、教室にて。

一人で座って昼食をとっている御伽の肩に立ったシバンは、怒ったような声で、

「なんで、この学校には幽霊がいないのよ!」

と言った。

「まぁ、そりゃこの学校って2年前にできたばっかだし・・・」

御伽はシバンにそう答えた。

この高校は2年前に開校したばかりで、御伽は2期生であった。

御伽はこの学校では、まだ幽霊を見たことがなかった。

だからあまり学校での霊助けは気乗りしなかったのである。

「普通学校て言ったら、幽霊がわんさかいるってイメージでしょ!」

と何故かまだ激昂したままである。

「まぁそんな怒らないで。

帰りに見つけようよ。困ってる子。」

「ま、まぁそうね。怒っても仕方ないわね。

で、高校っていつ終わるの?」

その問いに御伽は、

「大体4時くらい。」

「あと3時間ちょっともあるのね。

暇だわ。少し周りを見てくるわね。」

「ほーい」

御伽は適当に返事した。





「ほんとにいないわね・・・。」

シバンは独り言を言いながら、廊下を歩いていた。

立ち止まり、廊下の窓から外を見ていると、校庭をさまよっている猫を見つけた。

「あれ?あんなとこに猫がいる。」

そう言い目を凝らしてみると、シバンはあることに気づいた。

「あの猫、影がない・・・。しかも後ろ足がないし。」


「きっと幽霊ね。」

そう言いシバンは御伽の元に駆け足で向かった。








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