『本能』or『友情』

黒い無機物。


それに立ち向かうみんな。


私が1人、かばんちゃんのかばんから取り出した『ちず』。




みんなが戦っている間にかみひこうきを折って火をつけて飛ばして……


ピンチ用に私はこの手を使おうと考えてる。




でも私は……


私はヤギ。


ちずがおいしそうに見えてくるんだ。


そんなヒマないのは分かってる。みんなもかみひこうきを折ること優先だよね。




でも、私はヤギ。


本能があるけもの。




じゅるり。




ちずに顔を近づける。




すると……


匂いが鼻をついた。


かばんちゃんの匂いが……。




思い出す。








………………








「食べないで下さい!」


「食べないよ!私はそうしょくだよ!」


「ここ、どこなんでしょうか……」


「ここはジャパリパークだよ!私はヤギ!」


かばんちゃんとは私のなわばりのこうざんで出会った。


かばんちゃんは最初自分が何の動物かを知らなかった。だから私はかばんちゃんが背負っていた『かばん』から『かばんちゃん』って名前をつけた。




私はかばんちゃんが何の動物かを調べる為にとしょかんに行こうと提案した。


私とかばんちゃんは1回こうざんを降り、じゃんぐるちほーの入り口で別れた。でも気になるからついていった。




それからボスと出会って、カワウソやジャガーとも出会ってばすを見つけたけどでんちがなかった。だからまたこうざんに登って、かふぇででんちをじゅうでんした。




でんちをじゅうでんしたらまたこうざんを降りてばすに入れる。


そこからばすで、さばくちほーやこはん、へいげんちほー、としょかんと来てかばんちゃんが『ヒト』だって分かった。


そしてヒトのなわばりを探す為みずべちほー、ゆきやまちほー、ろっじと旅を続けた。




ろっじではキリンが


「あなた、サーバルキャットね!」


って言ってきたけどさーばるきゃっとって何だろう?




でも……ろっじを後にしたところで黒いセルリアンが来て……


私は食べられて……


そんな私を助けたかばんちゃんが食べられて……








フレンズのみんなは来たけど……








かみを。


かみを食べてしまいそう。


そんな記憶さえピンチに消えて。


早く……折らなきゃ……


かばんちゃんが教えてくれた、かみひこうきの折り方。


必死に折って、本能をおさえて。


出来た苦労の塊はぐしゃぐしゃで。




もうダメだ。


ちょっとくらいなら。




……ひとかじりだけ。




しちゃったよ。


どうしよう。


ざいあくかん……。




「あぁっはぁぁぁぁ!」


「どうッスか!?」


「これは……」




かばんちゃんが……出てきた!?かばんちゃん!




でも……あれ……黒いセルリアンが!


腕を振り下ろそうとしている。


かばんちゃんの他にもアルパカ、カワウソ、プレーリーが犠牲に……


火を……火を……!


こうだったっけ……?





怖い。


お腹が空いた。


でもかばんちゃんは私の大切な……





「あぁ!」


「攻撃させないで!」








……。








…………。








「……今だよ!」




「逃げろー!」


「「「わーーー!」」」






私は……


『本能』よりも『友情』を選んだ。


確かにお腹は空くけど、かばんちゃんと食べるじゃぱりまんの方が美味しい。


確かに火は怖いけど、かばんちゃんを助けられればそんな恐怖はなくなる。


かばんちゃんのぼうしのように少し欠けたかみひこうき。それはとびきりに輝いていた……。






「……ヤギちゃん……。」


「あ……かばんちゃんだよね!?分かる!?1番最初に会った時にしたお話覚えてる!?」


「……食べないで下さい」




「うっ、食べないよ!私はそうしょくだよ!」

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