青色の夢を見た
ある日私はその地に立ちました。
さばんな。雄大な大地。
私が動物の時から、私はそこにいました。
でも姿が変わって見方も変わってきました。
考えをもっとしっかり持てるようになり、目線も少し高くなりました。
でも、変わらないことだってあります。
私は臆病です。今はカバさんの所でちょっとだけお世話になっていますが、パークの掟をやぶりたくありません。
そして私は青色が嫌いです。何でかは分かりません。
でもすごく怖くて、嫌な気持ちになります。
カバさんに訊くと、知っていそうな素振りをしていても知らないというので、謎は深まりました。
このパークにはセルリアンという存在もいるので、食べられないうちに、その答えを見つけ出したいものです。
でもそれも怖くて、食べられるのも怖くて、本当に怖くて、またカバさんに頼ってしまいます。
カバさんは「馴染んでから一人立ちすればいい」なんて言いますけれど、パークの掟を教えてくれたのはカバさんじゃないですか。
ちょっとムカついて、カバさんに青色のこと、何度も訊いて困らせました。
でも私はアードウルフ、相手はカバさん。どうなるかなんて目に見えています。
まず私はセルリアンを倒せないので、いつも倒しているカバさんに勝てるわけがないのです。
自分の弱さを憎みました。
強ければ一人立ちも出来たのに。
ムカついた相手だって倒せるのに。
私は強くないんです。
そんな日々が続きました。
ずっとずっと弱さを憎みました。
キラリただただ輝く星さえも、強く思えてきたのです。
その夜、夢の中で青いフレンズに出会いました。
青色は嫌いなのに。
何故か動けないままそのフレンズは、こちらを見て言いました。
「ごめんね。トラウマがきみに植えつけられたのは、僕のせいだ。青色が嫌いになったのも、僕のせいさ。」
「どうしてあなたは謝るの?」
私には分かりませんでした。
なので訊きました。
「青色は僕だ」
その答えで、なんとなく分かってきた気がします。
私、アードウルフは『あの時』をなんとなく思い出しました。
「私が弱かったのがいけなかったんです」
その自虐に、青色は反論してくれました。
「弱いのはきみだけじゃないよ。僕だってフレンズに勝てなかった。こんな広い世界の中、きみ以外にも弱い奴はいるさ。絶対いるに決まってる。きみより不幸な奴も、きみより冴えない奴も、1人はいるに決まってるさ。」
そこで目は覚めました。
涙が止まらなくなりました。
私は私のままで良かったのです。
きっと弱いのは私だけじゃない。
なら変わらない日々を生きていけばいいのです。
夢はいつか薄れていきます。
私はそれも怖かった。
でも、怖がることを私はやめることなんてしませんでした。
まず、私は生まれてきたことさえ奇跡なのですから、変わらない日々を生きていけばいいのです。
そうでしょう?
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