第2話 迷走

まずは損失を確認。

建玉照会に表示されている数字。


-190万0000円


今損切りすれば、ギリギリ累計3000万には届かないライン。

(よし、損切りするぞ・・・)


その時、相場が若干の好転を見せる。


(あれ、これ我慢すればいけるんじゃないか・・?)


だがそれはフェイクであり、そこで一段の急落。


「ぎゃあああああああ」


焦って利益確定ボタンを押す。


-200万5000円


俺はバカだ。

なぜ決めた時にすぐ行動に移さなかったのか・・・

負債を膨らましながら、なんとか全てを決済。


「ふぅ・・・・終わった」


結果、累計3000万5000円の損失。


しばしの沈黙。


疲れた。


震える手でコーヒーを一口。

自分の累計損失が頭をよぎる。


なんと莫大な損失か。

貯金をほぼ使い潰してこの有様。

しかし、異常思考となっている状態でまず思ったことはなんと、「非常にキリが悪い数字」ということだった。


「なんだこの5000円・・・・。やめるにしても後味が悪すぎるだろ・・・」


そして、この5000円をなんとか稼ごうとして

さらなる損失を発生させる事態となった。


買えば下がる、売れば上がる。市場も迷走。俺も迷走。

結局、たった1時間の間に追加で、80万円もの追加負債を負う事となった。


累計3080万5000円の損失。


「は、、はは」


俺は目の前のPCを床に叩きつけた。


・・・何が悪かったのだろうか。


端的に言えば、、

目先の利益ばかり追い続けたことだろう。

投機と投資は違う。

何年もかけて汗水垂らして貯めたお金はものの数日で消えてしまった。


振り返ると俺という人間はいつもそうだ。

自分の利になりそうなものには後先考えず飛びついて、

そして後で必ず失敗し後悔する。

それの繰り返しである。


でも今回ばかりは額が額であり、耐えきることができそうにない。

正直自分に疲れた、もう死んでもいいな・・・。


そう考え始めた頃にはもう意識を保つことができず

俺は崩れるように布団に倒れ込んだ。


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泥沼のなかの蛙 dateS @iwakun01

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