第9話 昼休みの地獄と天国
月曜日――
「・・・・・・・・・・・・という訳で俺とリリシアは、付き合うことになりました!!」
俺は、満面の笑みで菊池に報告した。
報告と言うよりは、自慢に近いかな。終始笑顔で話していた。
「ふーん、良かったじゃん」
反応薄くね?もっと驚いて欲しかったな。
俺は、少ししょんぼりした。
「もっと、関心を持てよ菊池!この俺に彼女が出来たという事に!!」
だが、俺がテンション高めに設定して喋っているのに菊池は、そんなに興味のないようにしている。これは、由々しき事態である。
この俺は、自慢ではないが女にモテたこと生まれて一度もない!そんな俺に、何故か転校生美少女であるリリシアさんが好意を抱き、なんだかんだあって2人は、付き合うことになった。
それが天文学的数値に達する程の幸運だと言う事を菊池は、分かってないのか!?
「なぁー、眞君よ・・・・・・」
「な、なんだよ」
「付き合えた事はおめでとう。だけどね・・・・・・本当に大事なのはこれからだって事忘れちゃダメだよ」
何故かに神妙な感じだった。
「どう言う事だよ?」
「これだから童貞は、はぁー」
「お前も童貞だろ!!」
「まぁ、怒りなさんなよ、話はここからなんだから」
菊池と久しぶりに真剣な雰囲気で話す事になった。
顔も少し真剣になっている。よくテレビのドラマとかであるシリアスなシーンみたいだ。
「いいかい、これからが大事なんだよ。恋愛というのはね・・・・・・」
「お前は、恋愛の専門家じゃないだろ!!」とツッコミたくなったが止めた。続きを聞こう。
「恋愛というのは、始めが大事なんだよ。彼女との距離感これが一番大事なの」
そんなの当たり前のように知っとるわ!!!
俺を舐めてんのか、菊池よ!!
これ以上菊池と関わっていても何も無いと思ったから俺は、席を立って、次の移動教室に向かおうとした。
「おいおい、どこ行くんだよ?」
「次の時間の教室に行くんだよ。俺は次の時間、地理だから多目的教室に移動する。お前は、世界史選択だから教室のままだろ?」
「まぁ、そうだけど・・・」
「じゃあな」
そう言って多目的教室に向かって歩き出した。
「ちょっと待て、最後にこれだけ教えてやる」
まだ、その話をするのか?もういいだろ。
そう思っていると、菊池はこっちに近ずいてきてひそひそ声で言ってきた。
「これは、教えとかじゃなくて約束だ・・・」
「何?」
「彼女を大事にしろよな!」
そう言うと菊池は、笑いながら教室に戻った。
何とも頼もしくも良い奴だと思った。菊池は、昔からそうだったなと気づいた。
「ふっ」
そう少し、笑ってまた多目的教室へと歩き出した。さっきよりも足は軽くなっていて、意味はないけどリズムを刻みながら歩いていた。
何とも楽しい移動時間だ。
「よーし、リリシアの彼氏として恥ずかしく無いように、勉強頑張るか!」
俺は、授業中に寝ることをこの時に止めることを決めた。
菊池に後で「何でか?」と聞かれたのでこう答えた。
「だって、リリシアにばれたら恥ずかしいでしょ?」
て言ってやったよ。
別に悪い事をしてる訳ではないし、むしろいい事をしているからいいでしょ?
昼休み――
「何で昼休み集まらないと行けないんだよ!!!貴重な時間を削りたくないのに!!!無駄だろこんな時間は!!!」そんな心の叫びは、喉の所で止まって出てこない。
何故なら、目の前にこの時間に招集した張本人である人物(康弘先生)が目の前にいるからだ。
クソ!早く帰りたい・・・・・・部活のミーティングなんてしたくないんだよね。
そんな事は、お構いなしに話は、始まった。
「こんにちは!」
『こんにちは!』
部員が一同に返事をする。俺は、康弘に返事を返したくはないのだが・・・・・・仕方ないから返す。してないのがバレて怒られてはたまらんからな。
「えー、それで今回集まったのは~」
ここから先はどうでもいいので別にいいだろと思って頭のスイッチを切った。いつもこんな感じでミーティングの時間は、過ぎていく。
「~という事で俺からのお知らせは終わります。あ、あと週末の大会についてだけど・・・・・・」
大会?あぁー、そうだった。日曜日は、大会だった。
シーズンに入って2回目となる大会で、さほど重要とでもなく、今の自分の腕試し的な目的で出場した。
俺は確か・・・・・・200メートルの自由形と1500メートルの自由形に出場していた。
今回の大会は、何故かベスト(1番早いタイム)が出る気がする。ここ最近の俺は、ネガティブからポジティブに変わったからかもな。
「以上で連絡を終わります。テスト3週間となっているので勉強をしっかりしておく事!!以上!!」
これでミーティングは、終了した。
紙で伝えたらいいものを何でわざわざ口で伝えるかわかんないな・・・・・・
毎度のように愚痴をこぼさずに心の中に溜め込んで教室へと戻った。ストレス80%ぐらいかな?結構高くなっている。
早く教室に帰ろうと思った時だった。
「眞さーん!」
この声は・・・・・・リリシアさんだ!!
俺は、思いっきり振り返って後ろを見た。
そこに居てくれた!
「リリシア!どうしたの?こんな所で?」
「いやー、たまたま見つけたから、声をかけたんですよ!」
相変わらず、可愛い奴だな、俺のストレスは、20%ぐらいまで一気に下がった。
「それで、先輩は、何してたんですか?」
「あぁー、俺は、部活のミーティングがあったからで、もう終わって今から教室に帰るところだよ」
「そうなんですね、お疲れ様です。所で、昨日の事覚えてますよね・・・」
「昨日の事とは、俺たちが付き合う事になったことかな?」
「そうです」
彼女は、あまり大きな声で話して欲しくなさそうにしていた。恥ずかしいのだろうな。
耳が赤くしながら、指を1本口に添えて「静かに」のジェスチャーをしていた。
やべぇ、萌えるわぁ・・・・・・
この姿をライトノベルの挿絵にしたら、絶対に売れるだろうな。俺は自信を持ってそう言える。
「覚えているなら大丈夫です」
そう言って彼女は、ぷいと顔を横にした。
その横顔もまた素敵で・・・・・・
また、萌えるわぁ・・・・・・
と思ってしまった。
「部活のミーティングてどんな事を話すんですか?」
「んーとね、部活の方針だったり、練習の計画だったり、大会が近い時は、大会について話ししたりするよ」
「へー、凄いですね」
「いやいや、全然そんな事はないよ。今回は大会の事だったからすぐ終わったんだよね」
「という事は、ちかぢか大会があるってことですよね?」
彼女は、少し嬉しそうに言った。
「まぁ、そうなるね。ひょっとして応援してくれるの?」
そう聞いたらリリシアは、こう言ってくれた。
「当たり前のがってんですよ!」
そう言って大きく頷いてくれた。
なんだそれ?俺は、彼女の言葉のチョイスに一瞬驚いてしまったが、凄い可愛いのでいい事にしよう。
「いつですか?いつですか?」
子犬みたいに凄い興味津々のようだ。
「えーとね、今週の日曜日だよ」
「それなら、ちょうど予定もないので全然行けますよ!!場所は何処ですか?」
「となりの××市の大島マリンプールて所だよ。でも大丈夫少し遠いよ?」
「大丈夫です!!絶対に行くので!!」
どこまでよく出来た彼女なんだよ!?
行きたいのなら仕方ないな、来てもらうか。
「じゃあ、よろしくおねがいします!」
「ふふふ、何で敬語なんですか?こちらこそ見させて貰います!」
これは、カッコいい所見したいな。どんな男だろうと可愛い子が目の前に頑張れるしカッコいい所を見したくなるものだ。
今からアンケートを取っても結果は、当然だろうな!
そう思った時にちょうどチャイムがなった。
『キーンコーンカーンコーン』
「もう5分前やからまたね!また放課後会おうや!」
俺はそう言って教室に戻っるために歩き始めようとした。
「また放課後です!!あ、眞さん私部活に入ったんですよ!」
そうなの!?何部に入ったんだ?
歩くのを止めた。
俺は平然を装って聞いた。
「へー、何部に入ったの?」
正直凄い気になるんですが!!
「それはー、茶道部です!!早速今日からです!」
「へー、茶道部ねー」
そんな部活内の学校にあったのか?初めて聞いたぞ。
「日本の文化に触れてみたいので入ろうと思いました!!剣道部と迷ったんですけどね!剣道は武士道て感じがしてカッコいいんですよね!」
流石は、ハーフ「日本文化を学びたいと思っている」というイメージは、あてはまっている。
「着物も着れるんですよね!!楽しみです!!」
それは俺も見たいです。てか早く見たいです。
「良かったね!」
「はいです!」
「じゃあ、頑張ってね。俺も部活頑張るよ」
「ラジャーです!」
「今度こそまたね」
「またねーです!」
今の一時で大会までのモチベーションが保てるだろうな。俺は、心の中がぽかぽかしてなんだか嬉しかった。
「さーてと、がんばろうかな・・・・・・」
今度の大会は、久しぶりに楽しめそうだ。
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