第8話 帰り道にて
帰り道――
さてと、リリシアさんは、初めてラノベを買って満足してる様子だ。何故なら、帰り道に彼女は、明るい歌を楽しそうに鼻歌を歌いながら歩いているからだ。
「ふーん🎶ふふーん🎶ふっふーん🎵」
何の歌だろうな?聞いたことないリズムだな・・・・・・気になるから、聞いてみるか。
「リリシアさん?」
「はい?なんですか?」
恥ずかしいそうにこっちを向いた。その顔は、後で神絵師のイラストレーターに描いて欲しいぐらいに可愛いらしい。
「その歌って何の歌?」
「ああー、この歌はですね、私のお母さんがよく歌ってた歌ですね。名前は、ちょっと分かんないですね」
「そうなんだ。凄い楽しそうに歌ってたから気になってね」
「すいません、名前分かんなくて・・・・・・」
「いやいや、謝んなくていいよ。それにしても、いい曲やね」
「はい!この曲には、えーとですねー、『頑張る』とかそお言う意味があったと思います」
「へー、原曲聞いてみたいね」
「そうですね、1回聞いてみて欲しいです」
そんな話をしていて思っていたけど・・・・・・
本をいつ渡そうか・・・・・・タイミングを失った。
うーん、どうしようかなー、今渡したら、いきなり過ぎておかしいし、後日渡したら、なんか、図った感が出るしなー、うーん、難しい。
これを優柔不断て言うんだろうな。よく菊池に言われたよ「お前は、優柔不断だから彼女が出来ないんだよ!」今ならその言葉が痛いほど分かる。
中々決められないものだな・・・・・・
駅まであと少しだし本当にタイミングなくなるな。
俺が悩んでいると、突然・・・・・・
「あの眞先輩?少しいいですか?」
話しかけて来た。
不意を突かれた俺は、慌てて言った。
「あ、なんだい?」
「なんだい」てなんだよ!どこのギザ野郎だよ!俺には、絶対に似合わないだろうよ!!
自分で自分に心の中でツッコミを入れた。
「えーと、私は、先輩の事を尊敬しています・・・・・・」
急にどうした?リリシアさん?
「で、こんな私にここまで仲良くして下さる人がいることが驚きだったんです・・・・・・」
いやいや、下心丸出しだったけど?その辺は関係ないのか?
「実は、私は日本に来て初めて出来た同じ位の年の知り合いは、先輩が初めてだったんですよ・・・・・・」
それは、俺が転んだからだよね。今思えは、あの時転んで正解だったな。
「それで、正直言うと不安だったんですよ、先輩に馴れ馴れしいと思われてないかとか・・・・・・」
それは、100%こっちの方が思ってたよ。うん、絶対にね。
「でも先輩は、そんなの関係無しに接してくれました。ありがとうございました!」
「それを言うのは、こっちの方だよリリシアさんこそありがとう」
気づけば、おれと彼女は、立ち止まっていた。夕暮れの道に2人がポツンと立っている所に長く伸びた影が道に映りとても綺麗だ。
彼女の顔は、夕暮れのせいか赤くなっていた。それを見た俺も彼女から見たら赤くなっていたと思う。
彼女と出会ったばかりの頃は、彼女とこんな風に過ごす時が来るなんて思ってもいなかった。今でもこれは、幻かと思うほどだ。
本当にこれは、漫画かよ、それかよく出来た夢かもね。
だとしたら、覚めないで欲しいな永遠に・・・・・・
「眞さん!」
黄昏(たそがれ)に浸ってていた所を呼び止められた。
「ん?何か?」
「もうすぐ電車きちゃいますよ」
「そう言えば、そうやね」
ふと、腕時計を見てみると、次の電車まで残り10分これを逃したら、次の便まで1時間かかる。
「リリシアさん・・・・・・」
「はい・・・」
「走る?」
「ですね!!」
「ちょっとその前にこれを渡さないと・・・・・・」
「ん?なんですか?」
行け、今しかない、今を逃したら渡す事は、二度と無くなるぞ!
心の中で小さい俺が大きな声で言ってくる。
「はいこれ!」
そう言って彼女に「妖精と少年の共通日記」を渡した。
「これは・・・・・・?」
「さっきの店で買ってたんだよね」
あーーー、恥ずかしい。今までで一度もこんな事したことないのに。
「それで・・・・・・」
「それで?」
「いわゆる・・・・・・」
「いわゆる?」
「プレゼントてやつです・・・・・・」
柄でも無いことを口にした時人は、胸の中が悶えるほど熱くなるのだとわかった。
多分さっきよりも顔が真っ赤になっているだろうな。
「眞さん・・・・・・」
「はい!
つい大きな声を出してしまった。仕方ないリリシアさんの反応が気になるからだ。
「ありがとうございます!!!!!これ一生大切保管しておきますね!!大切に大切にしますね!!」
そお言いながら彼女は、輝かしい笑顔をこっちに向けてきた。
こっちからしたら、素直に嬉しい事だ。心の中で俺は、万歳を三回繰り返していた。
そして、少し落ち着いた所で・・・・・・
「保管してくれるのは、ありがたいんだけど・・・・・・ちゃんと読んでね?」
「あっ、はい!もちろんちゃんと読みますよ!」
よし、俺の今日の仕事はもう終わった後は・・・・・・彼女と帰るだけだ!!
「リリシアさん!」
「はい?」
「全速力で走って駅まで行くよ!!」
「そうでしたね、時間がなかったんでしたね、走りましょうか!!」
「よし行こう!リリシアさん!!」
そう言って俺は、彼女の手を握って走り出した。たまには、こお言う the 青春みたいな事も悪くはないだろう。だって俺は、今が青春なんだからさ。なんちゃって。
キャラが崩壊し始めたので、ここで一旦元に戻ろう。
「え、あ、あの、ちょっと、眞さん!?」
彼女が恥ずかしそうに、慌てながら言っている。
そんな戸惑っている彼女を関係なく半ば強引に手を繋いで走り出した。運が良ければ間に合うけど、70%ぐらい失敗するかもな・・・・・・
「あの、やっぱり次の電車でもいいんじゃないんですか?」
その質問に俺は、カッコつけながらこう言った。
後になって恥ずかしくて、恥ずかしくて仕方ないのだけどその場の空気は、恐ろしくてそんな言葉もするすると口から出て行った。
「夜道は、危ないからね!次の電車に間に合わなかったら夜道を帰る事になるでしょ?そんな事させるわけには、いかないよ。リリ・・・いや天(そら)にね!」
調子に乗った俺は、かなり馴れ馴れしくなっていた。
走りながらそう思っていた。
「眞さん・・・・・・」
あーーー、反応怖いな!ちょっと強気な態度見せたけど、実際内心ビクビクのチキン野郎の俺は走ってるのとは、原因の違う汗をかいていた。
彼女の反応が怖くて、怖くて仕方なかった。
「眞さんちょっと止めてください・・・・・・」
え?
ええ?
調子に乗らなかったら良かったと死ぬほど思った。過去の自分を殴りたいと思ったのは、これが初めてだ。
俺は、今にも泣きそうな声を出して言った。
流石に言葉が痛かったな。
振られる覚悟で口を開いた。いや待て、まだ付き合ってもなかったな・・・・・・とんだ勘違い野郎だ俺は。
「どうしたの?」
「ゆっくり行きましょうよ」
「え?でも夜道が暗いから・・・・・・」
「大丈夫ですよ、先輩がエスコートしてください・・・・・・家まで」
ぇぇえええええええええええええええええええええええええええ!!!!!???????
「それって・・・・・・」
「だから、夜道は危ないので先輩にエスコートして貰いたいなぁー、で思ってます!」
なんだよ神様、今日は、やけにスパイスが効いてるじゃありませんか?どぉ言う風の吹き回しなんだろうな? まぁ、いいさ、とりあえず今日は、最高の日という事でいいさ。
「全力でエスコートさせて貰います!!!」
俺は、嬉しさのあまり声が大きくなった。
そして、彼女の顔をふと見てみた。
「はい、よろしくお願いします、これからも・・・・・・」
ん?んん?
最後の方がよく分からなかったなーー
「最後のは・・・・・・どぉ言う意味?」
そう聞くと彼女は、顔を赤くした。夕焼けのせいではないと俺は信じた。
「だから、私と・・・・・・」
私と?
「その・・・・・・」
その?
「えーと、だから、私と恋人同士なって欲しいんです!!ちゃんと言えた・・・・・・」
眞は、頭が真っ白になりました。
3秒後に頭の機能が回復しました。
そして、冷静になってこう言った。
「俺は、女にモテない、愛想が悪い、顔もそんなに良くない、そんな俺でいいの?」
「いいんです!そのままの眞さんで!そのままの眞さんが好きなんです!!好きじゃないとこんなに一緒に居ませんよ・・・・・・こんなに恥ずかしい事あんまり言わさないでくださいよ・・・・・・」
そう言って彼女は、俺に手を差し伸べた。
「付き合っ貰えるなら、手を繋いでください」
彼女の顔は、至って真剣な顔でおふざけは一切無しという事が目を見てたら分かった。
俺は静かに、確かに、彼女の手を握った。その時に彼女から向けられた笑顔は、今までで1番いい笑顔だった。
彼女との関係が今変わった。
「1つ言いたいことがあるんだけどいいかい?」
「なんですか?」
「こお言う告白は、男がするものじゃないのかなー?」
「関係ないですよ!私結構好きな人には、ぐいぐい行きますよ!」
こんな子だからいいのかもな、へたれの俺には・・・・・・
そして俺は、彼女に言った。
「よしリリシア、一緒に帰ろうか・・・・・・今度はゆっくりとね・・・・・・」
「そうですね!」
そしてまた、手を繋いで歩き出した。
ふと横を見てみると、長く伸びた影が2人が手を繋いでいる様子を映し出していてそれを見ていると笑ってしまった。
幸せとは、こう言う気持ちの事を言うのだと思った。
はぁー、ニヤニヤが止まらねぇな!!
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