第7話文学少女
本屋――
「うわーー!!本がいっぱいありますね!」
「ハハハ、そうだよ、だってここは本屋だよ」
俺とリリシアさんは、本屋に着いた。
そこは、3階建ての構造になっている。
1階が新刊、雑誌、小説を取り扱っていて、1階の取り扱い数はよく分からないが、とにかく多いのだ。
そして2階は、ラノベと漫画コーナーになっている。そこは、俺みたいなオタク(隠れオタク)には、最高の場所で俺は密かに楽園(エデン)と呼んでいる。
大手編集社からネット発の漫画まで幅広くファンを満足させる品ぞろえだ。
ライトノベルも同じように、大手文庫からレーベルを作って2年ぐらいの文庫まで幅広く品ぞろえとなっている。
ここに来たら俺は最低でも1時間は、ラノベや漫画を見てしまう。
この2階には、あとでリリシアさんを連れてこないといけない。正直リアクションが怖い・・・・・・
3階は、レンタルDVD屋となっている。ここも品ぞろえは、とても良い。
以上が今居る本屋の説明だ。
「こっちだよー、リリシアさん」
俺は、彼女を少し案内した。
「うわー、凄いですね!いっぱいですね!」
さっきと同じ台詞を繰り返している。それほどまでに本が好きなんだろうな。
はしゃぐ彼女を見ていると、いつも来ているここも楽しい場所に変わっていく。
「リリシアさんは、どんな本が読みたいの?」
俺は彼女にそう質問した。そして彼女に1番ぴったりな本を買ってあげようと作戦を立てていた。
その名も「リリシアさんに本をプレゼントしてあげよう計画!」です!
「そのまんまじゃあないか!」と突っ込まれそうだがそんな事は今は関係ない!!
そんな理由で俺は財布の中を温めてきた。
「そうですねー、今は、日本文学を読んでいるので、今度は外国の小説が読みたいですね!」
「了解です!すぐお勧めのを持ってくるよ!」
この時のために、昨日ネットでどんなことが来てもいいように調べまくったのだ!
全ては、この時のために・・・
そして俺は1冊の本を彼女に渡した。
「はいこれ。お勧めの本だよ」
「おおー!これは!ええーと『少年と妖精の共通日記』て本ですね。なんだか面白そうです!!」
「その話は、名前の通り少年と妖精の話で、簡単に訳すとある少年が日記を書いていたらある日、その日記に自分以外の字で書かれてある別の日記が書かれてあった。誰かは分からないけどお互いに日記を書いていく。その別の日記を書いていたのは、実は妖精で密かに少年のことを好(す)いていた。絶対に実らない恋に妖精は、悲しむけど日記はやめない。なぜなら少年が好きだから。そしてある日妖精は・・・・・・」
「妖精は?」
「妖精は・・・」
「妖精は??」
「続きは、自分で見てね!」
さっきの電車のお返しだ。ちょっとだけ意地悪をしよう。
「んーーー!!気になりますよ!!」
彼女は、そう言ってとても可愛らしい仕草でほっぺたを膨らました。ライトノベルでよくあるやつだ。
実際に見れるとは、思ってなかった。
なんと愛おしいのだろう・・・・・・
さて、見事に彼女の心を魅了したこの本を俺はプレゼントしようと決めた。これで彼女と・・・・・・ぐふふふふ。
最低な妄想は置いといて、彼女へのプレゼントが決まって少し安心した。次はこれをこっそり買って彼女にプレゼントしたらいいのだ。
よし次の段階へと入ろうか…作戦は、第2段階へと移る。
俺はリリシアさんにこう言った。
「リリシアさん、ここの本もだいたい見たし次は2階に行ってみない?」
「んーーー、まだ名残り惜しいですけど、帰りも寄れますしね。とりあえず2階に行ってみましょう!」
よし釣れた!!
ここで先にリリシアさんを行かせておいて、俺はマッハでその『少年と妖精の共通日記』を買って帰り際に彼女に渡す。
そして彼女の好感度は、右肩上がりで急上昇!!最高じゃないか!!なんて完璧何だろうか!!
俺は、ポーカーフェイスを作りながらも内心のウハウハは、止まらない。いや、止められない!
一瞬でも顔の筋肉を緩めたら、「ニコーーーーー」とにやけてしまうだろうな。普通に恥ずかしいよ・・・・・・
「じゃあ、少し先に行っといて欲しいんだけどいい?」
「別にいいですけど、何かするんですか?」
「うん、ちょっとトイレにね」
「なら、待っておきますよ」
「いや、先に2階に行ってリリシアさんが面白そうだと思うのを選んどいて」
「・・・わかりました」
そして、リリシアさんは、スタスタと歩いて2階に行った。
よし!
そうして、リリシアさんが2階に完全に上がったのを確認したら俺は、急いでさっきの本を取りレジへと向かった。
「これをください」
「1480円となります」
少し高いな。だけど、文庫じゃないでかい本だとこんなものだろう。
「はい」
俺は、1500円を出して20円のお釣りを貰ってから、レシートを捨てて走って彼女の向かって行った2階に向かった。
気分はまさに、お姫様を助けに行く(何にもピンチじゃないが)王子様気分だ。
頭の中でそんな妄想しながら、階段をダッシュで登って行った。
待ってろよーリリシア!!
「えーと、リリシアさんはどこだ?」
1階よりも少し小さい2階ならそんなに離れたとこにいるはずはないからすぐに見つかるだろうな。
俺は、そう思って辺りを少しぐるっと見てみた。
いた!
リリシアさんは、漫画の最新刊が置いてあるコーナーでじっとある漫画を見ていた。表情は、少し暗そうに思える。一体なんでだろう?
「おーい、リリシアさん!」
今のでこっちに気づいたみたいだ。
「こっちですよー!」
そんなに離れてないのに手を振ってきた。見ているこっちが恥ずかしくなってしまうけど、それ以上に嬉しい。
「お待たせー。リリシアさんは何見てたの?」
「最近の漫画がどんなのが流行ってるのかちょっと見てました。私、流行に疎(うと)いんで研究ですね」
勉強熱心な人だなと思った。そこがまた彼女の魅力に繋がるんだろうな・・・・・・
「先輩のおすすめのラノベ教えてくださいよ」
「そう言えばそうやったね。ラノベのコーナーは、こっちにあるから行こうか」
「はい!」
「ここだよ!」
「うわー、ここがライトノベルのコーナーなんですね。凄いですね!!」
「えーと、俺のおすすめはーどこかなーー」
そう言いながら棚に手を出して、自分の好きな作品を黙々と探し始めた。
「先輩は、ここによく来てるんですか?」
「うん。ここに来たら必ずここに寄るよ」
「まさに行きつけてわけですね!」
「うん。まぁ、そうなるかな。店員さんに顔も憶えられたしね」
「それは、そうとうですね!?」
「自分ではそんなに考えてないんだけどね」
自分の好きな作品が中々見つからないけど、彼女との会話が続いて楽しいのと嬉しいのが混ざりあって気分がいい。
「あー、分かります、自分がやってることてそんなに考えてないのに他人からしたら実は凄いことだったりしますよね!」
「そうそう!リリシアさんもそんな事あるの?」
「はい!少しですけどね」
「へー、一体どんな事?」
「えーとですねー、1000ページぐらいある本を1週間で読んだ時の話をしたら驚かれましたね!」
「凄っ!てか凄すぎるでしょ!!」
凄さの次元が違うよ・・・・・・
「皆そお言うんですけどねー、凄さがよく分からないんですよねー」
それに気づいてない事も凄いよ・・・・・・
「うーん、読書をしない人は、まず300ページ以上ある本を分厚いて思うからねー」
本当は、200ページぐらいだと思うけどね・・・・・・、本当の事は、言わないでおこう。
「そうなんですか!?」
「うん、そうだと思うよ」
「はーー、日本人は、もっと本を読むべきだと思います!!」
そう力強くリリシアさんが力説した所でようやく、探していたラノベが見つかった。
「あった!!これだよ!」
「見つかったんですか?探していたライトノベル?」
「うん、見つかったよ!はいこれ!」
彼女に本を渡した。
「えーと、『エルフとの共同生活は、毎日大変だけど最高です』ですか?」
女の子にこれを見せるのは、どうかと思ったけど、リリシアさんなら大丈夫だろう。そんな根拠の無い自信があった。それが本当になればいいのだが・・・・・・
「面白そうですね!!この本!!」
ビンゴ!!!!!予想が当たった!!
「ちなみに、ジャンルは、ラブコメと日常ファンタジーかな」
「日常ファンタジーてなんですか?」
「えーとね、ファンタジーの世界の日常かな・・・」
「へー、ファンタジーの世界なんですかこの話は?」
「うん、とっても面白いよ!リリシアさんはラブコメとか好き?」
俺は、さらりと大きな事を聞いた。
本を読まない人は分からないだろうけど、自分の好きなジャンルや本を言うのは、恥ずかしい時がある。
リリシアさんはどうだろうか?
「私は、あんまりラブコメは、読みませんね。代わりに、サスペンスとかの方を読みます」
良かったー・・・・・・
さっき俺の思っていた事は、80%あっていると思うので、今度読書家にでも聞いてみてくれ。いやほんとに合ってると思うから・・・・・・
「サスペンスかーー・・・・・・大人やね」
「いえいえ、そんな事はないですよ。あの犯人がわかった時の快感は、最高なんですよね!!」
「なんだか面白そうだね!」と話を合わせる。
「でしょ!!先輩も1回読んでみてください、きっとはまりますよ!!」
ここまで言われたら、見てみるしかないな。
「うん!今度見てみるよ!」
「じゃあ、今度一緒に行く時は私がおすすめを教えますね!」
どうやら勝手に次に一緒に行く時の話を決められたようだ。それはそれで、最高なんだけどね!!!!!
「じゃあ、とりあえず私は、この本を買いますね。読んでみるのが楽しみです🎶」
あーー、やっぱり最後の言い方は、可愛いな。
そうして、リリシアさんと俺は、一緒にレジへと向かった。
ふと横顔を見てみると、美しい天使がいて少しにやけた。こんな事がまた起こる事を彼女がレジで本を買っている時に静かに密かに祈った。
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