第2話女神降臨



次の日・・・・・・


朝っぱらからこんなに気分が萎えるのは久しぶりだった。

「どうして8キロも走らないといけないんだよーー!!!」

叫んだって何も変わらないとにかく、走る準備をしよう。こうなったのは、自分のせいだし。

はぁ...だりぃ。


約20分前―――


「おい!眞こっち来い!!」

「ん?」

顧問の康弘(やすひろ)先生が呼んでいる。何故かたいそう怒っている模様しだが・・・・・・ああー昨日のことか。

俺はすぐに先生のもとへと向かった。

「なんですか?」

「昨日の練習どうして休んだ?」

先生の顔は、真剣な顔だった。いつも見たいに適当なことを言ってやり過す事はできないな。

「えーー・・・体がだるくて、今日休んで明日には、疲れ全部取ってがんばろう!!て思ってたんですよ」

どうだ!!これで怒られないと思った。

「へー、そうなのかー」

康弘先生は、そう言って少し間をとって発言した。

「じゃあ、今日8キロ走れるよな!」

「え?」

「だってもう元気になっんだろ?じゃあ8キロ走った後に練習しようかと思ってね。大丈夫走り終わったあとは、軽く筋トレして終わりだからな。頑張れよ」

そう言って康弘先生は、俺の前から去っていた。



「頑張れよ」じゃねぇーよ!!水泳部の練習は普段8キロなんて走る事なんてまずない。多くても4キロがMAXだよ。したがって、筋肉痛は確実である。

筋肉痛になることを絶対にあいつは、狙っているだろうな・・・・・・

部長がさっきからこっちを、ちらちらと見ている。言いたいことがあるならスッパ!と言ってくれればいいのに。

部長は、良くいえば、お人好しのいい人で、悪く言えば優柔不断だ。いつも、自分の事と相手のことを天秤にかけては、相手の事を優先するあまり、自分の事を押さえ込んでしまう人だ。


仕方ない。

俺はこっちをちらちら見ている部長の所に行って一言、言ってきた。

「大丈夫ですよ中林先輩。8キロなんてすぐに終わらせて、来るので!それに今日は、ちょうど走りたいなーて思っていた所なんです。だから本当に大丈夫ですよ。」

そお言うと中林先輩は、「そうかー、じゃあ頑張れよ」て言っているような顔をしてくれた。

「じゃあ自分は、今から走りに行ってくるんで!!」

俺はその場から立ち去った。

中林さんもこれで自分のせいだとは、思わないだろうし、少なくとも俺が落ち込んでいないてことを分かってもらえた。

我ながらいい後輩だ。

そして更衣室で短パン、半袖に着替えた。

で初めに戻るわけだ。



「はあーーー」

深くため息を吐いた。そんな事をしても何も変わらないと分かっていながらも吐かずには、いられない気分だ。

俺は、校門前で少しストレッチをしている。2分もかからない簡単なストレッチだ。

ストレッチをしたら気分は変わるだろうと思ったが、気分はそんなに変わらない。それどころかどんどん走りたくない感情が増えていく。

ようやくストレッチが終わり、走り出そうという時にプールのある方を見る。そして舌打ちをしてようやく走り出した。


8キロは、外周を二周で終わりだ。一周約4キロのコースを二周走る。コースは、平坦と坂があり坂は、三つもある結構ハードなコースだ。

こんなコースを二周もしたらさっきも言ったが筋肉痛は、確実なものになる。湿布の用意を帰ったら即急にしておこう。

そんな事を考えていたら、一つ目の坂に着いた。一つ目の坂は、なんなく登れた。

これをあと五回もするとしたらやばいだろうな。

そうこうしている内に、次の坂に着いた。結構坂の間隔は、短い上って下って上って下っての繰り返しだ。

次の坂も上ったが、坂道を走る上で意外と足に負担がかかるのは下る時だ。下る時が一番足を捻りやすいのだ。

だけど下りが楽なのは変わらない。だから下りは、ブレーキをかけずに駆け抜けるのが一番だと俺は思う。

下りを下っていく。

何とか足を痛めることは無かった。そして、いいスピードでまた次の坂へと行けた。

最後の坂が一番急で一番辛い。

「ゼィ・・・・・・ゼィ・・・・・・ゼィ・・・」

息が切れてきた。かなりきつくなってきた。足の回転も遅くなってきた。足には、乳酸がどんどん溜まって来ているのだろうな。まぁ、何とか持つだろう。こんな時こそポジティブで行かなければならない。

また平坦に入った。割合的には、3対1ぐらいで平坦の方が多いけど、坂の方が長く感じるのは、何故だろうか?そんなの決まっている。きついからだ。



平坦道を走っていると途中で野球部のグラウンドが見えてくる。フェンス越しでは、あるが野球部が何をしているのかがすぐにわかる。

「ノックするぞー!配置につけー!」

『はいっ!!!』

野球部の野太く男らしい返事は、いつ聞いても気迫があって聞いている者に、印象を与える声だ。そのこえの中にえらく聞き覚えのある声がまじってる。菊池の声だ。

菊池は、ノックの時はいつも人一倍頑張っている。それにコーチは答えるかのようにボールを送る。

「もう1本!!」

菊池が大きな声でそう叫んだ。まだまだ満足なんかしてないらしく、自分の所にもっとくれとおもっているんだろうな・・・

そんな事を、毎日していたら守備が上手くなるはずだ。菊池の正確なボールコントロールと守備範囲の広さは、日頃の賜物(たまもの)なのだろうな。

そう言えば、以前本で読んだ内容でこんなものがあった。

「努力するという事を何か特別なことだと思っているやつは、成功しない。成功する人間は努力する事を惜しまないしまた、それを特別な事だとも思っていない。つまり自然と努力をすることが出来る人間こそ成功するのだ。」

菊池を見ていてこの話を思い出した。きっと菊池が俺の中で一番これに近ずいている人間なんだろうと思った。

あいつは、努力をするのが当たり前。もっと言うと努力する事を、楽しんでしている。そんな人間は、強くなるはずだ。

そんな事を考えながら野球部のグラウンドの横を走った。このグラウンドを越えたらもうすぐ一周目が終わる。

まだ足は持つだろう。そう考えてペースを少し上げた。



「ゼィ・・・・・・ゼィ・・・ゼィ・・・ゼィ・・・」

二周目に入った。だいぶ息切れが激しくなってきている。だけどこの調子だったらゴールまでは、何とか行けるだろう。それに、少しきついぐらいでは、ないとトレーニングにならない。幸いにも明日は日曜日に、部活もオフだ。ゆっくり休める。

そしてまた、坂へと着いた。

俺は、足に思いっきり力を入れて坂道をまた上り始めた。小さく小刻みに足を動かして上って行く。

坂の上までたどり着いて、思いっきりスピードを出して下って行く。その時のスピードでまた坂を上っていく。

五回目の坂も何とか上れた。残るは一つだけだ。

坂の上から猛ダッシュでかけて行く。そうして最後の坂を上るためのスピードを蓄えていく。

「ゼィ・・・・・・はぁー・・・・・・ゼィ・・・・・・はぁー・・・・・・」

ほんとに辛い時は、頭の思考を停止させて、その事だけを考えて行動する。ただ一つの目的を果たすために行動する。あともう少しだ。

上りきった。後は、下って平坦を走って終わりだ。

「はぁ・・・・・・はぁ・・・」

息切れは、止まらないが早く下って帰ろう。そして筋トレをして終わろう。

俺は、重力に体を任せて、少し前傾姿勢を取りながら、坂を今までで一番いいスピードで駆けていく。

その時だった!

「うわっ!ととっと!!やべぇ!」

坂で思いっきり転んでしまいそうになってしまったが大丈夫だ。しかし・・・・・・


「ごーーーーん!!!!!!!」

鈍くて低い音が響き渡る。

どうやら、坂にあるガードレールに思いっきりぶつかってしまった。

頭が割れそうなぐらい痛い。膝も少し擦りむいているし、足も捻っている。かなり体はボロボロになってしまった。

ふらふらしながら坂のしたまでらとりあえず下りて行ったけど、頭痛はどんどん強くなっていく。

「痛てぇ・・・・・・」

そう言って俺はその場に倒れ込んだ。

だけどこの時はまだ想像もしなかった。この事がきかっけで彼女と出会うことになるなんて・・・・・・


「・・・・・・・・・んーー」

俺は、ようやく意識を取り戻した。

私は眞、ここは、外周コースの最後の下り坂の道だよね。良かった、記憶喪失には、なっていなかったみたいだ。

あれからどのくらい時間が経ったのだろうか。頭は少しガンガンなっているけど、立てるほどには、回復した。

俺は、「よっこいしょ」と言って重い腰を上げた。

そういえば、足を捻っていたはずだけど何故か治っている。何故だろうか?

・・・・・・・・・初めから捻ってなかったのかな?そうだ、そうに違いない。

そう頭に言い聞かせた。細かい事は気にしない主義なのでね。

「あ、あ、あの!大丈夫でしたか?」

俺は、声のする方に顔を向けた。するとそこには・・・・・・・・・・・・金髪で目が青色の外国人の女の子が立っていた。年齢は、同じぐらいかな?胸は小さいが顔は天使のような可憐(かれん)さを持っている。やべぇな、俺の心にドストライクで来やがった。

俺は目を丸くしてしまった。

「あのー大丈夫ですか?」

「あ、あ、あうん、だ、だ、大丈夫だよ」

可愛い子に免疫のない俺は、噛みまくってしまった。彼女いない歴=年齢の俺は、可愛い子にめっぽう弱く、声もかけられないヘタレなのに、向こうから声を掛けられるとなると、もうテンパるに決まっているだろう!!!

「そうですか・・・なら良かったです!」

そう言ってニコッと彼女は、笑った。

可愛すぎるだろー!!その笑顔は、反則だよ…童貞を殺す笑顔だよ・・・・・そんな事を考えていたら彼女は、喋り出した。

「最初見た時はびっくりしたんですよね。こんな所で人が倒れている!て。とりあえず、顔の汚れを取っておきましたよ。砂がいっぱい付いていたので。その後は、どうしようか迷いましたけど、心配だったんで、しばらくここにいました。」

「そうなんですか!?あ、あ、ありがとうございます!も、も、もう大丈夫ですよ。あなたのおかけです」

また噛んでしまった。恥ずかしい・・・

「いえいえ、私は何もしていませんよ」

「そんな事は、ないです!本当にありがとうございました」

そう言って俺は、お辞儀をした。深く深く頭を下げた。

「あのーひとついいですか?」

「はい、どうしました?」

「何があってあんなふうになったんですか?体調が悪いならすぐに家で寝た方がいいと思いますよ」

俺の事を心配してくれてるなんて、なんという幸福!だけど言えないよなぁ・・・・・・転んでガードレールにぶつかって気絶したなんて言えないよな・・・恥ずか死ぬよ。

「えぇーと、走ってたらちょっと頭がくらってして倒れてしまったんですよ。多分軽い貧血ですから大丈夫だと思います」

また嘘を付いてしまった。こんな可愛い子に嘘をつくなんて、馬鹿みたいだ。

「いやいや!全然大丈夫じゃないですか!」

彼女は、未だに俺の事を心配しているらしい。どれだけ優しいんだろうこの子は。

「ほんとに大丈夫ですか?送っていきましょうか?」

マジでーーー!!そんな、恋愛シュミレーションゲームのイベントみたいな事が俺にも訪れるとは、思っていなかった。これは、チャンスなのか?それとも冗談で言っているのか?どっちなんだ!!

考えすぎてまた頭が痛くなってきた。どうしようもない馬鹿だな俺は。

俺は、今にも胸の奥から出てきそうな何かを必死に押さえ込んでから喋り出した。

「そ、そ、そんなことさせる訳にはいきませんよ。ただでさえ、もう迷惑をかけたのに、これ以上迷惑をかけるわけには、いきませんよ。」

これでいいんだ。今の俺に、そんなチャンス与えて貰えるわけないだろ・・・・・・彼女にこれ以上迷惑をかけるわけには、いかない。そう心に強く言いつけた。

「じゃあ僕は、もう行きます。ありがとうございました」

「はい、どうも・・・・・・」

今日は、いい夢が見れそうだ。なんせ俺の人生の中で一番綺麗な人に出会えたのだからな。

こんなことを言ったら他の子達に失礼だけど、しかしこうも違うものなのかと思ってしまう。なんと言うか、白人の綺麗な肌と輝かしい金髪に、大和撫子(やまとなでしこ)の限りない清楚さを兼ね備えていて、そして顔も天使のような可愛さだ。少し胸は残念だが・・・・・・だけどそこも魅力的に見えてしまう。

帰ったら1発やろうかな・・・・・・最低だな俺は、ははは。


そんな最低な事を考えていたら、後から・・・・・・

「あの、待ってください!」

「ん?」

さっきの彼女がいる。

「あのーーやっぱりついて行きます。心配ですしまた倒れたらたいけないので、それに・・・・・・」

それに、それになんだ?俺は、一体何が起こっているのか分からなかった。次の言葉に俺は、鳥肌が立った。

「なんか・・・・・・ほっとけないです」

マジかーーー!!!こんなことほんとに起こるのんて思っていなかった。てか現実でほんとにあるなんて俺は、アニメの世界だけだと思っていた。それが今現実に・・・・・・

「だからついて行きますよ!倒れそうだったら言ってくださいね。いつでも肩を持ちますよ」

いいのか、こんな俺にそんな事をして、ほんとにいいのか?聞いてみることにした。

「そんな事をしていいの?」

「いいんですよ、どうせ今日は、休みなのでそれに、困った時はお互い様じゃないですか。ね?!」

どうやら彼女は、非の打ち所のない人らしいな。

どんな生活をしたらこんないい人が生まれるのだろうか?すごい気になる。

「それで、どこまで行くんですか?」

「えぇと、あの学校までです」

「分かりました。じゃあ行きましょう!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る