第7話 クジ引き八分の一?

「今からクジで席決めまーす!」

明日はいよいよクラス会。会場は駅上のバイキングレストラン。焼きたてのパン、手作りスイーツが人気だとホームページに掲載されていた。

(そうだ、青原君知ってるのかな?クロワッサン好きみたいだし話してみよう)


□□□□□□

当日の座席を決めているところだ。

4人1組。A~Iの文字の次に1~4までの番号が記されている。


「次、城多ー!」

よし、トモちゃんと同じグループになりますように!念を込めてクジを引く。

「Dの3!トモちゃんは?」

「わたし、Bの4だわ。残念」

トモちゃんとは別のグループになった。

クジ運ないわ…


「城多さんもD班ですか?」

声をかけてきたのは瑞山迴みずやま かい君。物静かなイメージで今まで話したことだって委員会の時ぐらいしかない。

「瑞山君も?宜しくねー」

「うん。──あのさ、」

「シーズカ!私もいっしょ!あとね鳴瀬一夜だよー」

瑞山君が何か言いかけたが、友達の沙希の声に遮られ聞き取れなかった。



Dグループは瑞山君、沙希、鳴瀬君、私の4人だ。よく話せるのは沙希だけか・・・

あの後、瑞山君は再び話しかけてくることはなく、ずっとスマホの画面を見つめていた。


□□□□□□

「あれ、定期が無い──っ!」

「え、ヤバいじゃん」

朝はあったから教室で落としてしまったのかも。トモちゃんには校門前で待ってもらって教室へ走った。

ロッカーも、机の中も教卓も思い当たるところは一通り探したが見つからなかった。

「おう、まだ残ってたんだ」と担任が言った。定期なくしちゃって・・・と言うと

「あの定期券、城多だったのか。ちょっと待ってなー」職員室で預かっていたそうだ。

「あの、この定期誰が預けてくれたんですか?」

「瑞山だよ。確か〇〇さんの──って言ってたっけ…?すっかり忘れてたわ。」

一言伝えておいてくれと担任は言った。

適当だなと思いつつ、瑞山君にお礼を伝えなきゃと連絡手段を考えた。LINEもツイッターも、繋がっていない。そもそもSNSとかやっているのかな。


(明日クラス会で言えばいいか)


そういえば、あの時瑞山君が言おうとしたことはこれの事だったのかも。

なんだか申し訳ないことしたな。

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