第4話




 あれから二日が経って、土曜日になったというのに、僕は家でゴロゴロしていた。


「非日常が日常に戻っちゃうと退屈だなぁ……」


 事件が解決してしまったので、退屈な日々がまた始まったのだ。


 昨日、秘密基地に行こうとしたら、警官やら報道陣やらが詰めかけていたので、行くに行けなくなっていたんだ。


「あんなに早く見つかっちゃうなんてなぁ、つまんないよなぁ……」


 高校をサボるときに利用していたあの廃屋で子供の死体を見つけたのは、14日の夕方頃だ。


 その死体はおそらくは三好あきらくんで、あきらくんは家に上がり込み、腐っていた床を踏み抜いてしまったようだ。


 床が抜けたものだから、そのまま地面に倒れてしまったみたいではあった。


 床か柱を固定していた五寸釘がそこにはあって、不幸にもその釘に頭から突っ込んでしまったようで、僕が見つけた時には頭が串刺しになっていて、もう死んでいた。


 あのままにしておくのは可哀想かなと思って、釘を抜いてやり、壊れかけのタンスの上に座らせてやった。


 死後硬直はまだ始まっていなかったので、僕が来るほんの少し前に絶命したのかもしれない。


 タンスに乗せた死体を見ていたら、僕は閃いたんだ。


 隠れ家に死体があるんだから、この非日常を楽しんでみようかと思ったんだ。


 死体のあの子供と少年探偵団を結成したのは、非日常の遊びの延長のようなものだ。


 一人で推理するのはつまんなかったので、死体の三好あきらくんに声をかけてみたり、独り言に独り言を返してみたりしたんだ。


 でも、そんな一人芝居は退屈過ぎてすぐに家に帰りたくなったんだけど。


「それにしても、死体ってすぐに腐るんだなぁ」


 一日で死臭があそこまで酷くなるとは思わなかったし、ハエなのか虫が大量発生するとは考えてもみなかった。


「……ああ、そうだ」


 日常に戻ってしまったのならば、その日常を非日常にしてしまえばいいんじゃないかな。


 また死体と一緒にしたりして……さ?


 死臭が鼻がもげそうなほどの悪臭だったけど、慣れてしまえば香しかったし、あの空気を吸い続けるのも悪くはないかな。


 そうだね。


 悪くはないよね?


 幸いな事に今日は土曜日だし、ゆっくりと探そう……。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

少年探偵団ごっこ 佐久間零式改 @sakunyazero

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ