第15話

 チャンクォンソンは道場の外に出る。どうやら先ほどの大きな音は正門に何かをぶつけてる音のようだ。

 正門には大きな木材の閂がしてあり、ちょっとやそっと衝撃を与えた所で開きそうない、だが、何かをぶつける大きな音がなるたび、だんだんと閂にヒビが入っていく。

 このまま衝撃を与え続ければ閂が壊れる可能性が大きい。恐らく、正門に衝撃を与えているのは須藤だと思われる。須藤が何を門にぶつけて開けようとしているのはわからないが……

 

 そして、閂が壊れれば須藤は中に入ってくる。

 

クォンソン 別れて隠れるんだ。俺が合図したら麻酔弾を撃て」


 クォンソンは言われた通り身を隠した。


 チャン達が身を隠してすぐに、正門が爆発でもしたような音と共に庭に吹っ飛んで来た。

 そして、壊れた門から須藤が歩いてきた。チャンたちは驚いた。文太郎の家の正門は高さは約5メートル、幅は約7メートルぐらいある。須藤はそれを素手で破壊して入って来たのだ。張《チャン)達は "レア"ゾンビの恐ろしさを知った。


 チャンイムに連絡した。イムが伊達を道場から出して囮にするよう連絡したが、一向に出てこない。チャンは再度、イムに連絡した。だが何度、連絡しても応答がなかった。


 チャンは痺れを切れせて、クォンソンに連絡した。


クォンソンイムと連絡が取れない。何かあったとは思うが、今は須藤の捕獲が先だ。須藤が俺達の隠れている場所を通りすぎたら後ろから攻撃するぞ。」


 チャン達は須藤が通り過ぎるまでジッと待つ事にした。だが、須藤は急に歩くのをやめ、辺りを見回し始めた。

 そして、何を思ったのか須藤は外に出て行った。チャン達は焦った。


チャンさん、須藤のやつ出て行きましたよ。どうします? 追います。」

 クォンチャンに連絡した。


 チャンは悩んだが、ここで須藤を取り逃がしては任務は失敗する。張《チャン)は須藤を追う事に決めた。


クォンソン、須藤を追うぞ!」


 チャン達は須藤を追うため庭に出て来た。

 そして、正門を出て須藤を追うとした瞬間、正門の外から何か大きな物体が飛んで来た。

 その物体は猛スピードで飛んできた為、チャン達は反応できなかった。

 そして、その物体がソンを直撃した。

 ソンは飛んで来た物体と一緒に後ろに吹っ飛ぶ。

 驚いたチャンクォンソンの所へ急いで駆け寄った。

 

 なんと飛んできた物体は大型バイクだった。

 ソンは大型バイクに潰されて死んでいた。


 チャンクォンは正門を方を見ると須藤が歩いて入ってきた。チャンクォンはライフルを構えた。

 

 だが、チャンクォンは須藤を見て驚きのあまり目を見開いた。

 なんと須藤はSUV車のバンパーを片手で掴んで、まるでキャリーバッグを運ぶように軽々と引きずりながら庭に入ってきたのだ。


「なんて、怪力だ……」


 チャンの心に絶望感が襲ってきた。しかし、それを振り払うようにクォンに叫びながら命令した。


クォン、撃て!」


 チャンクォンはライフルの引き金を引いた。

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