第10話
文太郎は駆け出した。そしてゾンビに蹴りを入れるとゾンビは静枝から離れた、しかしゾンビはすぐ立ち上がり文太郎に襲いかかる。
ゾンビの攻撃をヒラリと交わし文太郎は刀で化け物の首をはねた。
文太郎はゾンビが死んだ事を確認し静枝に駆け寄り声を掛ける。
「静枝さん! 大丈夫か!」
静枝は鼻から血を出し気を失っていた。
文太郎は静枝の脈を測る。
「大丈夫だ、死んでない気を失ってるだけだ。恭子、ごめん悪いけど、この鍵で切戸を閉めてきてくれ!また化け物が家に入ってきちまう」
文太郎が鍵を恭子に渡す。
「わかったわ」
恭子が道場の扉を開け出て行く。
「静枝さん! 大丈夫か!」
文太郎が声をかけるが静枝は気を失ったままだった。
(静枝さん……武器を取ろうしていたのか……)
静枝は壁に立て掛けてある武器を取ろうとしていたのか、静枝の近くに手裏剣や刀が散らばっている。
だが、その前にゾンビに捕まってしまったようだ。
(大丈夫だろうか? 静枝さん……)
文太郎が心配して静枝を見ていると、突然、静枝が痙攣し始めた。
文太郎は焦って叫んだ。
「静枝さん! しっかりしろ!」
静枝はしばらく痙攣してるとピタッと止まる。
文太郎はそれを見て一安心した。
「収まったか……良かった……」
そして文太郎がホッとした瞬間、静枝の目が突然開いた。
文太郎は静枝の目を見て驚きの声を上げる。
「なに! 静枝さん! な、なんだその目!」
なんと静枝の目は真っ赤になっていた。そして静枝は獣のような唸り声を上げると口から牙が見えた。
静枝はゾンビになっていた。
そして突然、文太郎の首を締めそのまま壁に叩きつける。
文太郎は苦しみもがくが静枝の力が強く抵抗できない。
(な……なんだこの力……強すぎる、とても60代の女性の力とは思えない)
ゾンビになった静枝の体は細身のままだったが、力はまるで鍛え上げられたボディビルダーのようだった。
文太郎は、静枝の手を振りほどき、床に落ちてる武器を拾おうとしたが静枝の締めつける力が強すぎてビクともしない。
(なんだぁ駄目だ、とてもじゃないが振りほどけない……)
文太郎の意識はだんだんと薄らいでいく。
静枝の両手を抑えていた文太郎の手がストンと落ちた。
文太郎の意識は消えかかっていた。
とその瞬間、静枝のコメカミから血が噴き出した!
静枝が倒れる。
文太郎は突然締められていた首が解放されたため咳き込んだ。
「ど、どうなってる……」
文太郎は意識が失いそうな状態のため目がぼやけていた。そして道場の出入り口の方を見ると恭子が立っていた。
恭子は文太郎に駆け寄る。
「文太郎くん! 大丈夫!」
文太郎は朦朧とした意識で恭子を見ている。
「恭子……何が起こった……」
突然、静枝が血を流して倒れた理由を文太郎は知りたかった。
すると恭子の後ろに全身黒ずくめの迷彩服を着た男が立っている事に文太郎は気づいた。その迷彩服の男は文太郎から恭子を引き離す。
そしてさらにもう一人、別の迷彩服をきた男が文太郎に近づいてきた。
その男はアサルトライフルを文太郎に突きつけ質問をした。
「お前 "だてぶんたろう"か?」
その男の声は片言で日本人ではないようだった。
文太郎は何か言おうとしたがそのまま気絶してしまった。
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