第46話 運動会
秋の定番、運動会です。
「2-Cに警告する!
お姉ちゃんが友香を人質にとって、脅迫まがいの事をやってます。
「お前のご両親も泣くわ!2-Aだって小春何種目も出てるじゃん!」
多香子が負けじと言い返します。
「さあ多香子!友香の命が惜しければ今後の競技への参加をすべて取り消せ!我ら2-Aに優勝の二文字を!」
「我ら2-Cは悪辣なテロ行為には屈しない!」
勝手に人質にされた友香が羽交い絞めにされながらぼやいてます。
「ワタシノイケンモキイテホシイナー」
仕方なく(え?)友香を解放するお姉ちゃん
「くっそー……ホントなんでウチの体育祭はこうなんだ……」
そうなんです。
何故かわからないですが、ウチの高校の体育祭は「同じ生徒が5競技まで出られる」という変わったルールがあるのです。
なので当然、陸上部の多香子や無駄にハイスペックなお姉ちゃんは何種目も出るわけです。
「うー、2-Cの奴らめぇ……」
我が2-Aは2位ですが、多香子のおかげでなかなか2-Cに追いつけません。
「あ、上見て思ったんだけど、『奴らめぇ……』って『らめぇ……』が含まれるね?」
「死ぬほどどうでもいいよお姉ちゃん!」
とうとう2年生最後から2番目の競技、女子スウェーデンリレーです。
男子のおかげで何とか2位に食らいついてますが、これで負けたら2-Aの優勝はなくなります。
2-Aのアンカーはお姉ちゃん
2-Cのアンカーは多香子
もう待機場所でバチバチ火花を散らせています。
怖い!
「くそう……3種目も多香子とかぶっちゃうとは……」
「100m走は当然勝ったけど、障害走で負けたのは不覚かな?」
「これに勝って多香子に勝ち越してやんぜぇ」
「は?バカじゃない?現役陸上部の私に勝てるわけないじゃん」
「リレーだもん。ウチのクラスが第3走者までに差をつけてくれたらまだチャンスあるし」
「ちょっとの差なら小春抜き返しちゃうし」
バチバチ火花を散らせています。
怖い!
スウェーデンリレーが始まり第3走者
わずかに2-Aが先に来ます。
「小春!頼んだ!」
「まかせて!」
お姉ちゃんがバトンを受け取りました。
少し遅れて2-C
「多香子!」
「おっけー!」
わずかの差、多香子が追いつこうとします。
「もらった小春!」
あと少し
あと少し
あと少し……
ゴール!
わずかな差!
お姉ちゃん逃げ切り!
「「いやったああああああああっ!」」
2-Aが沸き立ちます。
ばったり倒れてるお姉ちゃん
多香子が近づきます。
「はぁ……はぁ……舐めてた……」
「ぜぇ……はぁ……だろうね?はぁ……はぁ……『もらった小春!』とか……ぜぇ……はぁ……言ってるしぃ……舐めプ?」
「はぁ……はぁ……短距離で……呼吸……するなんて……舐めてた……」
「ぜぇ……はぁ……ばーか……はぁ……はぁ……」
お姉ちゃん倒れながら、ニカっと笑ってます。
結果、男子スウェーデンリレーも勝って2-A優勝!
お姉ちゃん、多香子に中指立ててはしゃいでます。
「全力でいった私に全力で来てくれなかった報いだ!」
多香子、返す言葉もございません。
ぐぬぬ顔で睨み返してきます。
「ま、第3走者でリードしてくれてなかったら、確実に負けてたけどね?」
と言いながら、第1走者から第3走者まで順番に抱きついて(勢い良すぎて、これを「ハグ」とは呼べない)いきます。
こういうトコは、良くも悪くもお姉ちゃんっぽいかな?
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