小春と小雪の探検談

第44話 知覚過敏

　放課後

　東條先輩に頼まれて生徒会広報誌を作るお手伝いしてます。

　トントン……かちゃっ……

「先輩、なんで２人きりなんすか？」

「こんなのに３人以上いらないし」

　コピーされた紙をそろえて、ホッチキス止めしながら聞きます。

「んで、なんで私なんすか？」

「いやー、ぶっちゃけ誰でも良かったんだけど、こはるんとなら単純作業も楽しいかなって思ってさぁ」

「んな理由ですか⁉まあいいですけどね……」

「ふぅー……」

「終わりましたねぇ……単純作業……」

　東條先輩が冷蔵庫の方に行き、缶ジュースをとってきてくれました。

「ありがとうございます」

「ついでに揉んでく？」

「いや、半分痴女の東條先輩のより、ギャーギャーわめき倒すウチの妹の方が揉んで楽しいですから。帰って揉みます」

「あはは！妹（いもうと）ちゃんリアクションよさそうだもんねー」

　すでに自宅に帰ってる小雪

　ブルブルッ！

「何⁉この悪寒⁉まだ残暑厳しいのに……」

「ところでこはるん」

「なんすか？」

「私、処女あげちゃう時はカレにパイズリしてあげようと心に決めてるんだよ」

　ぶーっ！

　ジュース吹いた！

「何呼吸するようにセクハラ痴女発言してるんですか⁉」

「いや、こはるんには無理かなって」

「ケンカ売ってません⁉私の後ろには全国何十万の貧乳に泣いている心清い乙女たちがバックについてますからね！」

「でも、こはるんの唇ってぷるっとしてて柔らかそうだし、お口でしてあげんのはありじゃない？」

　ぶーっ！

　ジュース吹いた２回目！

「ホント先輩痴女ですな！ゆるぎないわ！」

「ねえねえこはるん、そのぷるっとした唇でキスした事あんの？」

　ぶーっ！

　ジュース吹いた３回目！

　私も付き合いよく毎回ジュース口に含んでるよな。

「しっ、シテルわけ……ないっすよあははははは！」

「何で真っ赤なの？」

　ウソついてるからだよ！聞くなよ！

「いつもどおりですよ！あははははは！」

「キスどころか、ホントにお口でした事あるとか？」

「そっちはないっすよ！」

「んじゃキスはあるんだぁ、ふーん……」

　もうやだこの先輩

　終わったので帰ります。

　取り敢えずキスの相手は死守したぜ……はあ……

　小雪と淳子は先に帰っただろうから、部活組で誰か残ってないかな？

　と思ってたら、高坂クンがいました。

「よっ、小春」

「やっほ、高坂クン。今部活終わり？」

「うん、たまにゃ一緒に帰る？アイス位おごるし」

「行きます！」

「小春ホント物に弱いな」

　コンビニで買い食いアイスの定番、２本に分かれる例のヤツを買ってもらいます。

「ほい、１本どうぞ」

「さんきゅ」

　１本貰って、パクっとくわえたとたん……

『こはるんの唇ってぷるっとしてて柔らかそうだし、お口でしてあげんのはありじゃない？』

　なぜ思い出す⁉

　先輩のセクハラ攻撃で、エロ妄想が知覚過敏起こしてる！

「小春どした？顔赤くね？」

「なっ……なんでもないし！」

　ヤバいヤバい……

　考えるな考えるな……

　もし高坂クンからの告白にOKだしてたら……

　キスしてたりとか……

　お口でしてたりとか……

　飲んじゃったりとか……

　もっとえっちい事してたりとか……

「おーい小春」

「ひゃっ、ひゃいっ！」

「考え事？マジで大丈夫か？」

「ごっ、ゴメン！ちょっと生徒会の事で、あははははは！」

「まあ小春ってそういうトコあるしな」

　ごめんなさいごめんなさい！

　ワタクシ、高坂クンをエロ妄想のおかずにしちゃいました！

「ばいばい小春」

「また明日ね、高坂クン」

　途中で別れて自分ん家へ……

　ヤバいヤバい……

　高坂クンの事考えるな……

　マジでエロ妄想が知覚過敏起こしてる！

『ねえねえこはるん、そのぷるっとした唇でキスした事あんの？』

　そういえばキスって言ったら……

　淳子とのキス

　初めては淳子ん家で

　２回目は校庭で

　３回目は後夜祭の夜……

　淳子の唇、すっごいぷるっとして柔らかかったし……

「おかえり」

「ひゃ！たらいまっ！」

「どしたの？『ただいま』も無しに帰ってくるなんて」

「あは……な……何でもないし！」

『こはるんの唇ってぷるっとしてて柔らかそうだし、お口でしてあげんのはありじゃない？』

　お口でって……

　小雪の胸、揉むんじゃなくて、唇であんな事したら……

　小雪のを……一番先っぽを……ぱくっと……

「どしたの？おかしいよお姉ちゃん」

　はっと我に返ります。

　そして真っ赤に……

「申し訳ございませええええんっ！こんなダメで淫らなワタクシは皆様に合わせる顔がございませええええんっ！」

　走って自分の部屋に逃げました。

　こんなにワタクシ豆腐メンタルだったか⁉

　本日はゲシュタルトあんどアイデンティティ崩壊！